リモート授業(学部・社会人大学院):進歩点、問題点と解決案。

学部の「ビジネスコミュニケーション」の3回目の授業。

進歩:白版への板書の代わりに、アイパッドを使うやり方を開発した。グループワークでは巡回して様子を見ることができた。

ZOOMでのグループワークについての受講者の感想。回線が重くなり不安定、手書きの図解がうまく見せられないなどの問題がある。うまくいったグループとそうでないグループがあったが、これはリアルの授業と同じだ。

  •  前回よりグループワークは盛り上がって楽しかったです。グループワークはもう少し人数が多い方が活発にできると思った。
  • リモートだと顔が見れるのは良いが紙などに書いたものを見せようとしても文字が小さく見える。そのため普段より大きな字で頭を書くことを意識した方が良いと思った。
  • グループワークでは誰もボイスをつけません。
  • ズームでのワークは画質や音声に問題があり、なかなか難しいなと思いました。
  • ズームで図解を一緒に紹介するのは初めてです。そしてグループのみんなが発言しました。
  • グループワークで頭の整理をしましたが、カメラ越しなのか見ずらかった。
  • ズームではやはりわかりづらいところが多いのでやはり対面式でやっていきたいです。
  • ズームのグループワークを使い発表したが、オンライン上で発表した上で音声が途切れたり、上をうまく見せられなかったりと普段の対面の授業よりも難しいことが多い。
  • 少し音が聴きづらい部分があった。
  • オンライン上の講義なので仕方ないが、グループワークの際に作った図が見にくかった。
  • 人に見やすいように大きく書こうと思う。
  • スライドは見にくいです。声もエコーと次の言葉がぶつかって聞きにくいです。
  • グループディスカッションはなかなかうまくいかなかった。
  • 皆しっかり発表できていたと思います。少し図がみずらかったのですが、それはオンラインでは仕方ないことなのだと思いました。
  • 画面越しでは全体があまり見えなくて他の人の図がよく見えませんでした。
  • ウェブ授業に双方向性を求めるとクオリティが低下するのではないでしょうか。

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朝:寺島実郎さんから電話あり。私の「図解コミュニケーション全集」の推薦文をこの土日に書くということで、目次などを高野課長経由で渡すことになる。高野課長に手交。

大学生の就職について高野就職課長と雑談。コロナ禍で就職・人材獲得の戦線は様変わりの様子だ。企業格差。大学格差。地方人材獲得、、、、。リモート授業の様子のPRは追い風にできるとアドバイス

午後:・出版社で、「全集」のゲラをもらう。A5判で560ページの大著。表紙デザインは来週決定する。

図書流通センター用PR(105文字以内)案を決定。久恒啓一「図解コミュニケーション全集」全10巻の第一巻「原論編」。「全体の構造と部分同士の関係を表現できる画期的な「図解コミュニケーション」について四半世紀にわたり執筆した膨大な書籍を体系化。現代日本の病である「考える力」の欠如を救う「図解思考」の古典の第一弾」。

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夜:大学院(社会人)の「インサイトコミュニケーション」の授業の第1回。ZOOMを使ったオンライン授業。7人が参加。うち留学生が2人。栃木県那須からの参加者も。18時半から21時40分。

各自が描いた手書きの図解をパソコンのカメラの前に掲げてプレゼンをするというやり方を試したが、やはり問題があった。受講者と知恵を出し合って3つの方法を使えることがわかった。チャットにアップ、各自が共通にアップ、フェイスブックにアップ。このうち、全員が容易に参加できるフェイスブックでグループをつくり、そこにスマホで撮った写真をアップすることにした。本日描いた図解の修正版を後日アップしてもらう。

以下、今日の授業の受講生の感想。

  • 今日感じたことは、図解は簡単に見えるけどとても難しいということでした。また、すぐ諦める自分の性格も見えたと思います。箇条書きに大小、関係、重なりが見えないという観点がまず新しかったです。また、自分がちゃんと自分をふくめて周りを見ているかという疑問が湧きました。私はSIerで総務と営業管理とHRの仕事を少しずつ掛け持ちしています。先生が自分を真ん中にするという意味がわかりました。鳥の目です。ただ、私の仕事となると最初に書いた社内、社外という切り口はあまり有益でないと理解しました。書き直しします!次回も、よろしくお願いいたします!
  • 印象に残ったのは、■重要なテーマを考えるときに一番大切なのは「全体の構造と部分同士の関係」を理解すること。論文構成に役立つと思う。 ⇒「全体の構造」はお話からの想像だが、自分なりの方法論(数字と論理)で「全体を把握すること」を努力する。ことが重要 。「部分同士の関係」は、おっしゃったキーワード」がポイントと考える。 ■「私の仕事」に関しては、上記の全体感との関係で、 「全体の問題」と「個別の丁寧さを漏らさない、大切さ」だと理解した。 ■3つの例のWork SHOPだが、文章だけだと、人によって理解があまりにも違うことがよく理解できた。 正しいかわからないが、「図」に場合は「目」からの情報インプットが頭の整理に相当助けになっている、のではないか。文章だと「脳へのインプット」のみの違いがあるように感じる。

  • 私はこれまで文章を重視する資料づくりを行ってきたため、本日の先生の講義はとても刺激的でした。具体的には、「図は考えざるを得ない」、「図解だと全体を考えることができる」、などの言葉もなるほどと思いましたが、特に「図は自動的に進化する」の言葉が印象に残っています。本日の講義をお聞きし、図のポテンシャルを感じました。また本日ご教授頂いた、キーワードだけ書いていく→その後関係づけていくのような方法を今後訓練すれば、現在 私が 陥っている文章コミュニケーションから脱却できるのではとも思いました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
  • 文章理解の限界、箇条書きは分かりづらいの原理を知り、図解は分かりやすいコミュニケーションの手法だと初めて学び、今日の授業で今までの自分の文章やコミュニケーション概念に大きな変化が始まったと思います。特に、キーワード→○で囲む→文章を書くというシンプルな流れは、先ずは自分理解から始まることの大切さ、図解はそれを分かりやすく伝える技術であると感じています。この理論の初体験を大切に、今後は一歩ずつ自分の技術向上と成長を目指したいと思います。ありがとうございました。
  • <学んだこと>・箇条書きでこぼれ落ちることは理解していましたが、最後に仰った「頭が動かなくなる」という点が目からウロコでした。実際に課題でやってみて本当にそれを痛感しました。PCに慣れればなれるほど、楽して箇条書きにしてしまっていた自分を反省しました。・図は頭の中が見えるから恥ずかしくなる、という点も勉強になりました。だからこそ、お互いを知るためにとても役立つツールになると思いました。

以下、留学生。

  • うまくコミュニケーションできると論文を書けるように久恒先生のインサイトコミュニケーションを受けました。今日は第一講の授業で図解の全体の構造と部分の関係の構築や、図解を書くとき自分(紹介したこと、つたえたいこと)を中心して作るなどを学びました。図を描きながら授業を受けることはとても理解できるし、楽しいです。そして、新聞、本も図解で作けることがはじめて知っています。良い図を描けるように自分も練習します。メール遅くなって、申し訳ございません。日本語はまた勉強しているので、今度書いた感想短く,次は長く書けますように頑張ります。
  • 学んだこと:図面でコミニケーションの工具であることを理解しました。うまく説明できない時、図面を使って、説明の内容に含まる全体像とポイントとの関係を表示できます。図面で表示すると、自分の頭で想像している画面がそのまま相手に伝えます。ピクチャーみたいですね。感想:①大変学びました。図面の機能とコミュニケーションの関係など、深く理解でした。②画面共有する時、大変でした。

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「名言との対話」5月22日。清水俊二「映画を愛し、映画を理解する力をそなえていること。日本語、とくに話し言葉に熟達していること。百科事典的な雑知識に好奇心を持っていること」

清水 俊二(しみず しゅんじ、1906年11月27日 - 1988年5月22日)は、日本の映画字幕翻訳家、映画評論家、翻訳家。

東京帝国大学経済学部卒業後、MGM映画大阪宣伝部。1931年に渡米しパラマウント映画の字幕製作を始める。生涯で2000本の映画字幕をやるなど、字幕翻訳の世界を牽引した。

自伝『映画字幕(スーパー)五十年』は、日本の映画史を振り返る上でも一級の資料だ。この本の紹介文が清水の映画字幕人生を説明している。「1931年初冬、ニョーワーク。42丁目ではアステアが踊り、裏街ではマフィアが暗躍するこの街に、清水俊二はひとり降り立った。それは日本語スーパー字幕史の本格的な幕開けだった。「七年目の浮気」「ライムライト」「真昼の決闘」など、以来手がけた作品は千数百本!飽くなき好奇心のおもむくままに多彩な経歴を歩んできたスーパー字幕の第一人者がその波瀾に満ちた50年を振り返る。字幕草創期の秘話、谷崎潤一郎との一夕、熱愛する宝塚、と次々繰り出される話題に興味は尽きない」。この本は1985年に日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した。優れたエッセイストでもあった。また、アメリカ文学、ミステリ小説、映画関連本の翻訳。レイモンド=チャンドラーの翻訳でも知られた。

 1979年、映画字幕についての功績で、勲四等旭日小綬章を授与。1984年、映画翻訳者協会(現: 映画翻訳家協会)を設立し代表をつとめる。

映画字幕界というマイナーな世界の先駆者だが、弟子には1936年生まれの戸田奈津子、1959年生まれの太田直子(故人)らがおり、こういった人たちのおかげで私たちは洋画を楽しめてきたし、今後もお世話になるのだ。亡くなる前日まで取り組んでいたチャンドラーの『高い窓』の翻訳は未完のまま残されたが、戸田が後を引き継ぎ完成させた。

亡くなる前日まで取り組んでいたチャンドラーの『高い窓』の翻訳は未完のまま残されたが、戸田が後を引き継ぎ完成させている。

字幕翻訳については、原作を忠実に翻訳していない、誤訳だらけだという批判は常につきまとう。「1行10字、2行まで」という制約の中で、意訳をせざるを得ない中で奮闘しているとして、戸田奈津子が批判にさらされたときには、清水は論陣をはって擁護している。

以下、字幕翻訳者たちが語るこの世界の様子である。

清水俊二『映画字幕(スーパー)の作り方教えます』 (文春文庫) 。「1行10字、2行まで―。映画字幕の制約はまだまだある。この道50余年の著者が遺した字幕作りの真髄。映画字幕作り57年、その数なんと2千本に及ぶ斯界の第一人者が語る草創期の苦心から、最近の「フルメタルジャケット」事件まで。字幕翻訳の秘訣は「正しく、こなれた日本語と、雑学への限りない好奇心」と説く著者が明かす名訳、誤訳、珍訳の数々。63年5月、急逝した著者が遺した映画ファン必読の書」。

戸田奈津子。『字幕の中に人生』 。「一秒四文字、十字×二行以内のせりふ作りにすべてを賭ける映画字幕の第一人者が、『第三の男』の名訳を目にして以来あこがれつづけた字幕翻訳者への道が『地獄の黙示録』で花開き、以来人気と実力を得るようになった今日までの半生をたどる」。

太田 直子『字幕屋に「、」はない (字幕はウラがおもしろい) 』。「万国の字幕派よ、団結せよ!字幕屋稼業30年、オオタ氏の嘆き節、ボヤキ節炸裂。字幕翻訳の苦労を知ると映画がもっと楽しくなる!映画ファン、字幕派におくる痛快エッセイ」。

清水の翻訳で有名になったのは、映画「旅情」のセリフの「スパゲティを出されたら、スパゲティを食べなさい」だ。イタリアに旅したヘップバーンが真剣な恋愛を望む場面で、「あなたはアメリカからステーキを食べたくてベネチアに来たのでしょうが、ラビオリを目の前に出されたら、だまってラビオリを食べるものですよ。」というセリフをわかりやすく書き換えたものだ。

 映画の字幕翻訳は、直訳しても文章にならないし、意味が通じない。やはり日本人に合わせた思い切った意訳が必要なのだ。また言葉というものは時代とともに変化し続けるものだから、なかなか難しい面がある。

清水俊二は、映画を愛していること、話し言葉に熟達していること、それに雑知識に好奇心を持っていることがすぐれた字幕翻訳者の条件だとしている。そうでなければ、世界中の、あらゆる時代を生きた人々の人生ドラマを、短い言葉で表現することはできないだろうと納得する。清水が先導した映画字幕翻訳者は、大いなる教養人の系譜なのだろう。この系譜が映画愛好者たちを生み出して、日本の映画文化を高めてくれているのだ。