寺島実郎「日本再生論」第4回ーー「ウイルスとの共生」「専門性の誤謬」「全体知」「新しい産業社会」「時代を考える」

寺島実郎「日本再生論」第4回。東京」MXテレビ。20時から1時間。

「ウイルスとの共生」。覚悟が必要。withコロナ。新しい生活様式。常在菌は数百兆兆、人間は37-60兆。東大の山之内先生「ウイルスの意味」、ヒトに内在するレトロウイルス。チンパンジーと人間のDNAの違いは1.06%、コミュニケーションの分野。人間とは何か?

「専門性の誤謬」。コロナで8割接触減、42万人死亡、医療崩壊の危機。思考停止。新型コロナは感染力が強い、致死率は低い。7月中旬段階で死者は1000人未満。日本人の死亡の第3位はインフルエンザで3571人(2019年)。6月24日の専門家会議の廃止で総合知へ。専門知はオーバーリアクション。

「全体知」。今指導者に求められるものだ。般若心経。ハンニャハラミッタは完全なる叡智の探求という意味、全体知だ。五おん=色・受・想・行・識。色は外、後の4つは心の動き。五おんはつまり、全ては「空」だ。ゼロ、無限大につながる。

「日本のリーダー」。日本モデルのパラドックス、謎。司令塔は弱体だが、死者が少ない。PCR検査もやらない、やったのはマスク2枚と10万円。説明は4つ、中間層が厚い・公衆衛生意識が高い・自己防衛意識・偶然(運がよかった)。日本・韓国・中国は10万人あたりの死者が少ない。

「収束への展望」。100年前のスペイン風邪(1918-1922)の病原体は1995ねんに特定された。今回の新型ウイルスはすでに病原体が特定されている。エボラなどへの備え。国際連帯税など政策科学へとつなぐことが重要だ。「日経サイエンス」8月号がいい。

「日本のとるべき進路」。コロナが問題をあぶりだした。IMFの世界経済見通し。6月:世界マイナス4.9%。アメリカ・マイナス8.0%。ユーロ・マイナス10.2%。日本マイナス5.8%、これは10年前のGDPの水準。中国はプラス1.0%。アセアンはマイナス2.0%、インドはマイナス4.5%。

「株価だけが回復する不思議」。日米の株価はV字回復。緊急経済対策で市中にカネがあふれている。世界GDP81兆ドル、この1割以上を投入している。余ったカネが株に向かたt。これは後代負担になる。今後は「金融インフレ・実体デフレ」に向かっていく。

「日本」。世界におけるGDPシェア。1988年は16%、2018年6%。平成の30年で日本は埋没。円安誘導も影響。安きに流れた。中間層の厚みに変化!

ワーキングプア問題」。21世紀の20年で日本の貧困化がっ進行。製造業。建設業は412万人が減少。広義のサービス業は715万人増加。失業率は低い。広義のサービス業の年収は394万円で、91万(100万近く)低い。雇用者のうち年収200万円(生活保護水準)以下は全雇用者5995万人に対し1927万人で、32.1%。加えて生活保護は206万人。65歳上の年金世代は3600万人。こういった分配構造の変化の中で新型コロナ問題が発生した。

「気づき」。DX(デジタル。トランスフォーメーション)による生活様式の変化。リモート・オンラインでいいいという風潮。デジタルとリアルの融合! こコロナ禍で食糧パニックは起こらなかた。物流、ロジスチックス、スーパ=、コンビニ、EC、宅配のリアルの現場を支えた人たちのおかげだ。もっとリアルに目を向けよ。ふぁだメンタルズへの回帰。

。工業生産モデルだけではやっていけなくなった。2017年現在で、GDPは1次産業1.2 %(人口3.4%)、2次産業26.5%(人口23.8%)、3次産業72.3%(人口71.2%)。「生活・生命・安全・幸福」を見据えた産業構造へ。

「自分に何ができるのか」。医師会との連携。マスク、防護服、人工呼吸器の調査。マスクは8割が海外依存。こういうものは安全のために国内でも。工業でも医療産業、防災産業を重視。

「時代を考える」。芭蕉「よく見れば薺(なずな)花咲く垣根かな」。生身の認円、地頭。何ものも見逃さない感受性を大事に。

「番組の未来」。第5回は9月26日。国際関係。日本の社会構造。

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ジム:スイミング700m。

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 大相撲。

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「名言との対話」7月19日。吉良竜夫「どのような研究もその拠り所とする基礎科学のフィルターにかかる」

吉良 竜夫(きら たつお、1919年12月17日 - 2011年7月19日)は、日本生態学者。理学博士大阪市立大学名誉教授。

 京都帝国大学在学中に今西錦司梅棹忠夫らと大興安嶺ポナペ島調査隊に参加する。大阪市立大学在任中に日本各地、中国東南アジアの調査を行い植物地理学の研究に取り組んだ。温帯における植生分布を説明する指標として「温量指数」という考え方を提案した。植生の変化と気温の相関関係を表す指標である。

日本および世界における森林帯の気候区分体系の解明と確立を行うなど、いち早く生態学的な事象を地球規模で捉えるという広い視点を持ち、日本の生態学のその後の発展の礎を築いた。1982年 - 滋賀県琵琶湖研究所の初代所長に就任(1994年まで)。日本生態学会会長。初代日本熱帯生態学会会長。南方熊楠賞を受賞。吉良のコスモス国際賞受賞を記念して日本熱帯生態学会は1998年に「吉良賞」を創設した。

大阪市立大学で同僚であり、講義が死ぬほど嫌いであり、日本をよく留守にしていた梅棹忠夫の講義の代行をつとめていたそうだ。梅棹は兄のように慕っていた。

1976年発刊の『生態学入門』(梅棹忠夫・吉良竜夫編)では、 梅棹忠夫が「まえがきを書いている。生態学の体系化を目指した本で、卒業論文として人類学、比較文明論に踏み込んでいったとある。

生態学」について学んでみよう。 世界には3つの秩序がある。物理的秩序(物理科学)・生物的秩序(生物科学)・社会文化的秩序(社会・文化科学)である。物理科学と生物科学の間のフロンティアは生化学・生物物理学・分子生物学であり、生物科学と社会文化科学のフロンティアは生態学・生物社会学・動物心理学などである。

生態学のポイント。温度の高低と乾湿の度合いで植物生態系が決まる。草原ーマツ林ーカシ林と大型の群落に置き換わっていくというサクセッション(遷移)、最後は安定した群落に達するクライマックス(極相)になる。

「どのような研究もその拠り所とする基礎科学のフィルターにかかる」という吉良の言葉が残っている。梅棹忠夫の「文明の生態史観」は今西錦司が主宰する共同研究会で、川喜田二郎が発想し、吉良竜夫が綿密に計算し地図に描いた成果を会得した結果の成果だったのである。