ブログ本『今日も生涯の一日なり』の2019年版。

 ブログ本『今日も生涯の一日なり』の2019年版が完成。ネクパブ版。

「名言との対話」の部分は別に「名言集」として別に編集することにしたので、今回は428ページで1冊に収まった。「2004年・2005年版」以来、15冊目。

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・オキュラスクエスト2の設定までが終わり、新しい世界を少し覗いてみた。

宮城谷昌光『孔丘』(文芸春秋)を読み始める。

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大学:授業準備など

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「名言との対話」11月26日。「農業は楽しくて楽しくてしょうがない」

山下一穂(1950?-2017年11月26日)は、「土佐自然塾」塾長。

高知県生まれ。大学進学のために上京後、ドラマーとして活動。帰郷し高知市内で学習塾を経営。体を壊したことがきっかけで、農薬を使わない家庭菜園を始める。その延長線上に、48歳で1998年に本山町で農業に入る。自然農法と経済性の両立を目指す新しい有機農業を実践する。きれいでおいしい野菜は全国的に需要があった。

2006年、56歳で就農希望者に有機農業を教える「有機のがっこう・土佐自然塾」を開校し塾長を務めた。土づくりから、野菜の育て方までの1年間のプログラムである。有機農業はもうからないと言われてきたが、「僕は、その逆、有機農業でもうけることが出来ると証明しているつもりです。そのノウハウを伝授したいのです。農薬を使わない有機農業は自然を守り、ひとびとの健康を守るために絶対必要。有機農業をみんながやるようになったら、田畑から日本は再生する、と僕は主張しています。そのために、もうかる有機農業のやりかたを、土佐自然塾に来てくれたひとたちに伝えようと思っています」。この考えで、塾の開設後10年間で108名の卒業生を育てている。

以下、山下一穂の言葉から。

  • 「農業は一時期の一世代が生活の糧を得るための職業ではないし、食料を求める消費者のためだけのものでもない。次の世代に延々と伝えていかなければならない共通の財産なんです」
  • 「おいしい野菜づくりの原点は土づくり」
  • 「おいしい有機野菜は売れるから、農家がもうかり、そうすると次世代が育つ」
  • 「視野を拡大すると、農薬や除草剤を使わないことで河川への汚染が防げるし、ひいては深刻化する海洋汚染の予防にもなる。これまで環境の汚染源だった農地が浄化源になります」

有機農業を軸とした田舎からの国造り」という哲学を土台に、土佐自然塾で育てた弟子たちは、いまや山下流有機農業で「おいしい野菜づくり」を全国で展開している。山下の死は早すぎるのだが、彼が育てた弟子たちが次の世代を育て始めていると聞く。山下一穂は野菜づくりと同じように100人を超える人を育てた。その人たちが次の世代を育てる循環のサイクルがまわり始めている。農業も人づくりも循環である。循環とは、「新しい有機農業」というたすきを世代をつなぐ駅伝なのだ。同年代にこういう人もいることを初めて知った。

「農業は楽しい」という山下一穂は、自然との対話の中で行う日々の問題解決の楽しさを語っているのだろう。