- 作者: 村山治
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/04
- メディア: 単行本
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80年代に日米構造協議にかかわった検事たちは、2000年代に次々と検事総長となって検察を変えた。
登場人物と事件は以下の通り。
中村喜四郎、金融破たん処理、石油商泉井、KSD事件、参院のドン村上正邦、日歯連事件、野中広務、KSD事件、ホリエモン、村上ファンド、、、、。
検察の使命は、国家=官僚システムに介入して特定の利益のために政策を歪めようとする政治権力の排除が大きなテーマだった。政界がターゲットだった。そしてグローバル化の波の中で市場の求めるルールとのギャップに取り組んでいくなかで、司法制度改革や市場経済に対するチェックとバランスの再構築という重大な課題について官僚である検事に委ねていいかという疑問にこたえようとした書である。
結論は、検察には国民の絶対的な信頼があり、制度面でも検察側に圧倒的に有利にできていた。特捜警察が政治家を逮捕すると、実質てr機にその時点で社会的制裁を受ける、それは裁判制度とは別の制裁システムとして働いてきた。国民は自民党一党支配すなわち実質的な官僚支配を容認し、その構造を破壊しかねない自民党議員の官僚へのちょかきをチェックする役目を果たしてきた。
検察官僚が取り組んできた司法制度改革は、官僚機構を温存しつづ、近代化、合理化しつつ、徐々に国民を統治の主役に変えていくスタイルになった。
しかし、検察へのチェック体制は機能してきたとは言い難い。自らがチェックされないという構造自体が検察・法務の「市場検察」化における最大の矛盾となる。
以上が主旨である。
検察も官僚機構の一部であるということだろう。
ところで、司法制度改革も検察官僚の主導で行われてきた。「法の支配」に貫かれた事後チェック・事後救済型、つまり「市場型社会」に日本が変わるために、司法の仕組みを変えるという問題意識で始まっている。2001年12月に司法制度改革推進本部(総理が本部長)を設置し、裁判員制度、法テラス、法科大学院を3本柱に進めてきた。事後チェック・事後救済型になると、持ち込まれた紛争を引き受けるシステムも容量もなく、社会が機能不全になるか闇の世界がの役割が大きくなるから、インフラ整備としての司法制度改革が必要ということになった。
筆者は、01年のKSD事件、04年の日歯連事件の政界捜査との取引で司法制度改革が成立したのではないかとの疑念も持っている。
本当のところはわからないが、よく目を凝らしていないといけないということはわかった。