河北新報「紙面センサー」(16日)執筆

激戦の米大統領選は未明まで決着がもつれ込んだため各紙に差が出た。4日の朝刊一面トップ。日本経済新聞は「ブッシュ米大統領再選――激戦、2日越し決着」、そして河北新報は「ブッシュ氏再選、ケリー氏、敗北認める」だった。ちなみに他の新聞は、朝日「再選濃厚」、毎日「優勢」、読売「再選有力」、産経「再選確定的」だった。版の問題、地元であることもあるのだろうが、河北新報の報道は見事だった。翌5日には他の新聞も日米関係の論客を揃えて座談会を開いていたが、河北新報には、識者の「再選後の世界展望」という座談会があり、慶大の草野教授らとともに、アメリカウオッチャー第一人者の寺島実郎氏(日本総合研究所理事長)の構想力に富んだ議論を紹介していて読み応えがあった。

東北楽天ゴールデンイーグルズの参入が決まった。通称を楽天イーグルズとするというが、愛称としては「東北イーグルズ」ではいかがだろうか。今回の騒ぎですでに楽天は有名になって、「東北」の方が知られていない気がするが、、、。

 6日の岩手県の平泉・磐井・一関の合併による新市名問題。関係者の発言として湯布院町が市名候補を返上して合併で由布院市となるとあるが、先日湯布院に出張した時には、地域起こしのモデルである湯布院町は合併を巡り二つに割れているのが実情だと聞いた。市町村合併の論議には、財政の問題と同時に「地域ブランド」の再構築という課題を念頭に置くことが必要だ。最近の記事には、こういった議論の紹介が少ないように思う。また、同じ紙面に平松前大分県知事の道州制についての「東北、特に宮城県が議論の空白域になっているのは何とも寂しい」という発言が紹介されている。市町村合併道州制に連なる問題であることも意識したい。

さて、若者は新聞とどう接しているのだろうか。私2つの授業で「新聞購読に関するアンケート」を行った。宮城大生327人に聞いたアンケート結果を報告する。親と同居が6割。一人暮らしが4割。親と同居の場合とっている新聞は河北新報が64%、朝日新聞が20%、、、、。一人暮らしの場合の新聞購読率は1割。とっている新聞は河北新報が65%、朝日新聞が25%、、、。親と同居の場合は、新聞を「毎日読む」30%、「時々読む」50%で、読む人が多いということになった。しかし一人暮らしの場合は、「時々読む」42%、「全く読まない」50%となり、あまり読まないという結果となった。私も「新聞を読め」と勧めてはいるが、この数字には驚かざるを得ない。次に、新聞に対する要望は、「ネットが普及すれば新聞はいらなくなる」、「経済用語が難しすぎる」、「大きくて枚数が多くかさばる」などが、代表的な意見だった。いずれも現在の新聞の問題をいい当てていると思う。新聞の大きさについては、英国日刊高級紙タイムズが11月1日付けの紙面からすべて小型のタブロイド判に切り替え、大判は高級紙、タブロイダ判は大衆紙という住み分けが崩壊。タブロイド判は大判(現在の新聞の大きさ)の半分の大きさで、日刊ゲンダイ夕刊フジのサイズだ。新聞は家庭で読むという先入観があの大きさにしているのではないか。通勤など外で読む人や若者向けで考えるなら、タブロイド判の発行も選択肢の一つだろう。