「図考プレゼン 実践の極意」(久恒啓一著・アスキー)再掲

アスキー社から本を出した。

VISIOの解説書ということで始まったが、

結果的には、図解の技術書となった。

以下、「はじめに」から

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今まで図解あるいは図解コミュニケーションに関する本をずいぶんと書いてきました。原論、考え方、技術、応用とその展開領域は拡大しつつあります。ところが、図解の技術に関しては、焦点を絞った本は出す機会はなかなかありませんでした。また、私自身の関心が社会のあらゆる分野への応用にあったこともあり、タイトルでは「技術」を掲げた本もありますが、技術に焦点を絞った本にはなりきれませんでした。

それは一つには、本来、「技術」とは誰もが一定の順序を踏めばあるレベルに到達できるものを指しているのですが、あまりにも技術にはまり込むことによって、枝葉末節に気をとられ本質から遠ざかるという風潮に違和感を持っていたためです。

今回、アスキー社からマイクロソフトの優れたソフトであるVISIOを図解ソフトとして見立てて、解説書を書いてほしいという依頼がありました。ソフトの解説書を書くという意図があったために、余計な修飾を省くことになり、結果として図解の本格的な技術書が出来上がったように感じています。

日常の仕事の中できわめて有力な武器である図解の技術を解説し、その図解をつくるにはVISIOをどのように使えばよいかという観点からこの本は書かれています。この本の特徴の一つは、図解の例をふんだんに盛り込んでいることです。仕事の様々の場面で役に立つ図解事例を見るのも、楽しいでしょう。

図解を描くということは、新しい考え方をつくりだすということです。創造、構想、企画、表現という分野が、今の日本がもっとも大事にしなければならない分野です。つまり「考える力」を養うことが求められています。今、日本のあらゆる分野で、マネが横行しています。必要なのは自前でものごとの本質について考え抜く力です。そのための武器として図解は大きな力を持っています。図解の考え方等について関心のある方は、「図で考える人は仕事ができる」(日本経済新聞社)など一連の私の著作をお読みください。

どのようなソフトも、ソフトの使い方というマニュアルだけでは使いこなすことはできません。目的を達成するために使うのがソフトです。この本は図解を描くという使う人の目的から入って、その過程でソフトの技術を身につけようとするものです。このような考え方はずいぶんと前から私自身は持っていましたが、ようやく時代が追いついてきたのかなあと感じています。コンピュータソフトの分野では、今後このような企画が増えてくることでしょう。

図解力の向上と「考える力」の養成にこの本をぜひ役立ててください。