河北新報「紙面センサー」(最終回)3月15日号

紙面センサーの私の担当も今回で最終回だ。こんなに真剣に河北新報を読んだのは初めての経験である。書きたくてたまらないものがあるから書くというよりも、締め切りがあるから考えがまとまってくるという当たり前のことを改めて実感している。なにごとも表現しようとすることが大事なことだ。

新聞は旧メディアの代表だが、私自身はインターネット上で、ホームページ、メルマガ、ブログ、ソーシャルネットワークといった新メディアにも挑戦している。若い人や学生に教えてもらって何とか時代の先端の波頭にしがみついているといった状態だ。面白いのは、毎週出すメルマガは5年以上続いているし、三日坊主だった日記も「楽天」の参入を機に軽い気持ちでトライしてみたブログという日記システムに参加してから、160日以上毎日つけ続けるという初めての経験をしているところだ。


教育に新聞を活用しようというNIEという全国的な運動がある。3月1日の「小中学生向け ニュース社会科」のテーマは「愛知万博」だった。家族で対話をしながら理解を深めてもらおうというタイムリーな企画である。8日は「ニート」(若年無業者)で、カウンセリングや職業訓練などを促すことを通じ、若者の就職を支援する「みやぎジョブカフェ」の写真も掲載している。子供向けとのことだが、NHKの「週刊こどもニュース」と同じで、大人もこれを読むと旬の話題のアウトラインがよくわかるのでありがたい企画である。


3日には「昭和初期の町並み守れ」というタイトルで気仙沼の動きを取り上げている。通りにゆかりのある人物の名前をつけるなどのアイデアでイメージを高めるという計画を紹介している。最近、各地にある「人物記念館」に興味が湧き、出張や旅行時に訪問することにしているが、調べると東北の各県は10から20という数だが東京都の68をはるかにしのぐ県があった。それは長野県である。そのリストを眺めてみると、時間をかけて意識的に人物記念館をつくり続けてきたと感じる。それが今や貴重な観光資源であると同時に県民の愛郷心を育てる施設となっている。歴史や人物をクローズアップする愛郷心を育む記事もさらに期待したい。

仙台は何の都だろうか。昔からある杜の都や学都のイメージはいい。最近では音楽、楽しさなどをイメージする楽都、そして1日の紙面にあるように劇都という言い方も出てきた。そろそろ昔からある言葉を超える新しいキャッチフレーズが欲しいものだ。


東京は、スピード・スリル・サスペンスと3拍子揃った街であるが、仙台は、クールでコンパクトでコンフォータブルな街である。1時間半強の時間距離となった今、仙台に住んでいるということは東京の郊外に住んでいるのとほとんど変わらない。季節感あふれる百万都市仙台に住み、最先端ビジネスの本場・東京に向けての仕事も持っているという人には、まことに都合のいい環境になった。最近は仙台在住のまま文芸関係の大型の賞を受賞する人もずいぶんとみかけるようになったし、芸術家が住む街というイメージも悪くない。仙台は豊かな自然とはっきりした四季の移ろいを感じることができること、そして東京との距離感に優れていることなど都市間競争において得がたい位置を占めている。こういった情報の発信も大切だと思う。