直木賞をとった「柔らかな頬」、「OUT」「グロテスク」などが代表作の桐野夏生が書いた今までのホラー小説とは一味違う作品を読んだ。
主人公は59歳で夫を突如亡くした主婦。
葬儀の混乱、夫の長年の浮気の発覚、息子との確執によるカプセルホテルへの家出、息子や娘との財産分けのトラブル、本人の一夜の情事、友人たちとの交流と微妙な心理、嫁の悩み、老いの実態、夫の愛人との対決など現実に起こるであろう事件が次々と起こっていく。その都度、世間を知っていきながら、一人で生きていくことを決意し、強くなっていく主人公の姿をユーモアたっぷりで描いていく。