「エイズ犯罪・血友病患者の悲劇」(大宅壮一ノンフィクション賞)、「日本の危機」(菊池寛賞)など硬派の女性論客・桜井よしこさんの「何があっても大丈夫」(新潮社)を読んでいる。桜井さんはテレビなどでも男性の中で冷静かつ論理的に議論を進める姿をよく見かける。
1945年生まれで、敗戦の混乱の中ベトナムの野戦病院で生まれ、引き上げ後は両親の故郷である大分県と新潟県で少女時代を過ごす。この大分県というのは、中津市である。同郷であるとわかり、興味を抱き読み始めた。永添、大幡、耶馬溪線、八幡前、日豊本線、という懐かしい言葉がみえる。この中津で13歳まで暮らしている。
この本は、明治、大正、昭和、平成と続く母上の、日本の運命と重なり合う形での大きな劇的変化を体験してきた人生を描く物語だ。第1章は、「しっかり物をみなさい」--母がくれた宝物、第2章は、「私たちは2番目なんだ」--父からの自立、第3章は、「一体、何になりたいのか」--ジャーナリストへの道。「女性は男性の2倍働き、優雅であれ」というテーマを綴った部分があるが、桜井さんの目指してきた姿だろう。