日経ビジネス1月16日号−−−今北純一と寺島実郎

今週の日経ビジネスが届いた。よく知っている人が二人出ていた。


一人は今北純一さんで、新春特別対談で柔道金メダルの山下泰裕さんとの組み合わせだ。今北さんは現在はコーポレート・バリュー・アソシエーツマネージング・ディレクターという肩書きだった。ビジネスマン時代に企業の広報課長・宣伝課長の勉強会という会があって、このメンバーとしても参加されていて面識がある。1946年生まれで59歳。70年に東大大学院化学工学修士。バッテル記念研究所、フランス・ルノー公団、エア・リキッド・グループで要職を歴任し、99年に欧州を拠点とする有力経営コンサルティングの現在の会社に加わっている。副社長時代に日本でのその会に久しぶりに参加されて会ったからもうしばらく会っていないことになる。今北さんは当時「日本の頭脳」と言われていた。

対談の内容は、「個の底力でニッポン再興」というテーマで、日本人を応援するものだ。

今北さんは海外ビジネスの現場から日本や日本人、日本的経営を見つめて、その報告を本として出版するというスタイルをとっている。欧州からの視点は特に貴重である。


もう一人は寺島実郎さんで、こちらは「終わらない話」というコラムで「日本海物流の重大な意味」がテーマである。2005年の日本の貿易総額に占める米国の比重は18%以下、アジアは47%と5割に迫った。太平洋側の港湾(神戸・横浜など)が地盤沈下し、日本海側の港湾物流が活況を呈している。プサンがハブ港化し、アメリカへは2日早いため日本海津軽海峡を抜けるルートがラッシュになっている。戦後の日本人は、太平洋側を「表日本」、日本海側を「裏日本」と呼んできたが、「表と裏」を反転させるくらいの気迫が必要だ。アジアとの関係から国総体を戦略的に見直して、適正なインフラ投資と資源配分を行う視点が重要だ、と述べている。

寺島さんの写真は大手町の三井物産戦略研究所の所長室で撮ったものだ。時折訪ねることがあるが、この窓からは、皇居を見下ろすことができる。

寺島さんは、ワシントンにいた時には、ホワイトハウスが見える部屋に陣取っていて「ワシントン戦略読本--ホワイトハウスが見える窓から」という著作もある。

寺島さんはいつも、現在の日本の姿と進むべき方向を見晴らしよく提示してくれる。貴重な国士型の人材だ。