原阿佐緒記念館

日曜日、仙台市博物館で開催されている仙台留学百周年特別企画「魯迅展」を見た後、宮床に車を走らせる。

宮城県大和町宮床に生れたみちのくの抒情歌人、漂白の女流歌人原阿佐緒記念館(1888−1969年)は雪景色の中にひっそりとたたずんでいた。二度目の訪問である。類希な美貌と短歌や絵画の才能が阿佐緒に数奇な運命を招きよせる。東北帝大教授石原純とのスキャンダルで世論の攻撃を浴びる阿佐緒は地元でも批難の的となる。

ちょうど阿佐緒の遺した二冊の日記をテーマとした「蝶の日記」という企画展が記念館の二階で行われていた。「生きながら針にぬかれし蝶のごと悶えつつなほ飛ばむとそする」という歌に心を打たれる。阿佐緒は「これにはことさらにかかぬ、心乱れゐたる故ただにとりとめもなく筆にまかせてかく」と日記を書く心境を記している。

記念館に掲げてある歌が実にいい。よき理解者であった与謝野晶子ばりの官能的で抒情豊かな歌が心に残る。以下、気に入った歌を記す。

原阿佐緒については後日詳細を記す予定)