「ほんとうの時代」(PHP)で連載を始めた「人物記念館を訪ねる旅--ほんものの日本人」も3月発売号で7回目になった。今回は、松本清張に取り組んだ。前回は樋口一葉、次回は遠藤周作を予定している。
一人の人物を取り上げるごとに現場訪問と資料や作品の読み込みと考える時間が必要だが、ようやくリズムができてきつつあるところだ。字数が少ないので偉人の全生涯や作品を紹介するのが難しく、何を残すかに毎回苦慮する。また、その人の残した言葉を一つ選んでタイトルにしているのだが、これもなかなか一筋縄ではいかない。
清張の場合は「疑いだね」という言葉を選んだ。体制、学問、権威、通説、大家、常識、こういうものに敢然と挑戦するこの作家の神髄を表す言葉だと思ったからだ。
以下、一部抜粋。