看護学部で特別講義「図解コミュニケーションを活用した組織の問題解決」

看護学部の科目に4年生対象の「看護マネジメント1・2」という科目がある。看護や医療に関する理論や病院等での現場実習に加え、看護職にもマネジメントの能力養成が急務となっている。

現在の医療現場は医師、薬剤師、栄養士、理学療法士作業療法士などの多くの職種が看護職と手を取り合い機能している。看護職は対象の最も近くにいて、その「人」を支えていく存在だ。看護専門職としての知識や技術をもって他職種と協働し、その「人」にとって最高の医療が提供できるようマネジメントを行っていく能力の育成もめざしている。


私は事業構想学部に所属しているのだが、この科目での特別講義を要請されて行ってきた。今回のテーマは「図解コミュニケーションを活用した組織の問題解決」ということだった。ドラッカー理論の要諦、図解コミュニケーションの理論と技術、そしてある大病院の文章と箇条書きで構成された「理念と基本方針」を図解コミュンケーションの観点から批判し、組織の問題点と解決方法を述べるなど、医療現場に則して解説する。

最後に医療現場の捉え方について私の考えを述べておいた。


医療現場では、患者に正対しているのは看護師である。患者は単独で存在しているのではなく、背後に家族、そして職場があり、社会が患者を取り囲んでいる。

一方、医療の提供側は、看護師を取り囲むように、医師、薬剤師、栄養士、理学療法士作業療法士などが存在し、協力関係にある。そのさらに外縁に病院のマネジメント、会計部門、事務部門や食事や清掃に関する部門や外部委託業者がいるという構造になっている。このような看護師を取り巻く人々や部門は看護師のバックアップシステムと捉えるべきである。こういった立場にある看護師は背後の人的資源や医療知識を縦横に活用できるような優れたコミュニケーション能力が求められる。患者に向き合う力も含めて、看護師に必要なマネジメント能力の中核はコミュニケーション能力である。こういった視点で能力を高めて、医療というまたとない現場で活躍して欲しい。


来週には、4年生、大学院生、学部助手など講義を聴いた人たちのアンケートが届くので、どのように受けとったかわかる。楽しみだ。