梅棹忠夫の「日本探検」

梅棹忠夫著作集第七巻「日本探検」を読み終わった。1959年から数年間の仕事で「中央公論」誌上で連載したものである。

ぞくぞくするような知的興奮に満ちた読書だった。梅棹先生の著作はいつ読んでも新しい。

探検の対象に挙げた地域や団体は様々だが、どの切り口からも日本の深層部があぶりだされてくる。腑に落ちるという感覚が連続する。やさしい読みやすい文章で難しい用語や流行の概念は一切使わない。読者は日本という国に自信を持つことができるだろう。友人であった司馬遼太郎の思想と同じ方向を向いているように感じる。

「文明の生態史観」や「知的生産の技術」、「モゴール族探検記」など歴史的名著は多いが、この日本探検も主要著作の一つに違いない。


冒頭に「なんにもしらないことはよいことだ。自分の足であるき、自分の目でみて、その経験から、自由にかんがえを発展させることができるからだ。知識は、あるきながらえられる。あるきながら本をよみ、よみながらかんがえ、かんがえながらあるく。これはいちばんよい勉強の方法だと、わたしはかんがえている。」とある。

また「旅行と知識は同義語である。機会をとらえて、日本をあるこう。」と日本探検に出発する決意を語っている。

私は、改めてこの考えに深く共感している。


日本探検のテーマは下記のとおり。


・福山誠之館

大本教

・北海道独立論

高崎山

名神高速道路

出雲大社

・空からの日本探検

・「日本探検」始末記