守備範囲となった大学の図書館を歩いてみた。
本が整然と並んでいる。
図書館の分類法にしたがって、分野ごとに書物が並ぶ姿は知の香りがするようで懐かしい。
本の背表紙を眺めながら、どんな本があるのかを確かめるように歩く。
経営関係、デザイン分野、コンピュータ関係、医療分野、看護関係、、、。
本の背表紙には当然のことながら、本のタイトルと著者名が書かれている。
ところが本のタイトルは読めるが、著者の名前が読めない。図書館の分類ラベルが著者名の
ところに貼ってあるからだ。著者名を知るためには、本を抜き出して奥付を見なければならない。
本がずらっと並んでいるとラベルが行儀良く並んでいるので、美しい。
しかし、肝心の著者名を隠すように無遠慮にラベルが貼られている姿に違和感を覚えた。
形式上は美しいが、利用者の便宜は考えらていないと感じた。
当然のことながら、ラベルは本選びに影響のない部分に貼るべきではないだろうか。
関係者に聞いてみると、県の図書館などどこでもこういうやり方だとの返事だった。
もしそうなら図書館業界全体が間違えていると思う。図書の保管をしているのではなく、
図書サービスのために棚に並べているのだろうから、どう考えてもおかしい。
雑誌の並べ方、ロッカーの利用法など、ほかにもいくつか気がついたことがある。
どれも整理する側の論理でのシステムであり、利用者サイドの視点が抜けていると
感じるものだった。「お客さまの立場」に立つ、ということは理屈ではわかるが、
本当にそれを実行していくのは生やさしいことではないことを改めて感じた時間と
なった。