ナポレオン狂

8日の新聞にアスキー創業者の西和彦(現在は尚美学園大学大学院教授)さんの「皇帝の遺産 普遍の輝き」というエッセイが載っていた。江戸東京博物館で開催されているナポレオン戴冠200年記念展覧会見物のすすめである。西和彦さんとは西さんがまだアスキー副社長時代からだから四半世紀の付き合である。知的生産の技術研究会で数年おきに講演をお願いしてきたし、一時は宮城大学客員教授もしていただいていた。最近では名古屋万博で市民向けに一緒に講演をした。

もう随分の時間が経ったが、アスキー社長時代都心にある個人の基地である素晴らしい書斎を見せてもらったことがある。専門の学芸員がいて蒐集した書籍や絵画を整理していた。


ナポレオンに関する書物も多かったように記憶している。その時も聞いた気もするが、西さんと同じ年のマイクロソフト創業者のビル・ゲイツもナポレオンに関心が深い。

今回の記事では「ビル・ゲイツは、、、、、、個人では世界最大のナポレオン史料のコレクターである。妻ジョセフィーヌとの結婚契約書など、貴重な史料を所蔵している。フランス人の建築家が設計した、美しい円形のゲイツ・ライブラリーを撮影させてもらい、世界のメディアで初めて彼のナポレオン論をインタビューした。ビルはナポレオンの失敗について詳しく分析をしていて、もう少し実際的な妥協や和睦をしていれば、ナポレオンは永遠にフランスに君臨できたのでないかという。」と語っている。ビル・ゲイツの辿った戦略を示唆する言葉である。ビル・ゲイツはナポレオンになろうとしているのである。


大事を為した、あるいは為そうとする人物は、同時代に生きる先達を超えて、歴史の中に師匠を見つけるようだ。

ダイエー中内功さんは坂本龍馬であったし、小泉首相は周知の通り織田信長である。ソフトバンク孫正義さんもナポレオンや坂本龍馬武田信玄などを師匠としていると西和彦さんから聞いた記憶がある。面白いことに、当時西さんは信玄のライバルである上杉謙信にも関心を寄せていた。棟方志功ゴッホ、政治学の丸山昌男は福沢諭吉、名著「文明の生態史観」「知的生産の技術」を書いた梅棹忠夫先生は、大阪の国立民族学博物館でのインタビュー時に自分はダ・ヴィンチに近いともおっしゃっていたことも思い出す。


傾倒する人物では世界の中で圧倒的に多いのがナポレオンで、熱狂的な支持者が多く、そういう人たちは「ナポレオン狂」と呼ばれている。そういえば中学生の頃だったろうか、私もナポレオンの伝記を興奮して読んだ記憶がある。

18日まで開催されている展覧会には何とか足を運びたい。