残業よりも「前業」----とにかく朝早く稽古場に出ろ。人に負けない時間に出ろ。出さえすれば、あとはどうにかなる(大関・大の里)

残業してはいけない。

だらだらと非効率的な仕事になるし、必ずその日に終わらせなくてはいけない仕事でもないのに、同僚が帰らないからとか、何となく理由で残っている人も多いはずである。本来すべきではないはずの残業が、すっかり日常の習慣になってしまっている。そんな人は、定時に帰るように、自ら状況を変えていくことが必要だ。

残業はだらだらしてしまうので効率が悪い。疲れているし腹も減っている。だからといって簡単な食事を摂れば頭の働きが鈍くなる。そして残業を終えると、うさばらしに酒を飲んでしまう。こうしてどんどん悪循環に陥っていく。残業をしなければ仕事が終わらないという人も多いだろう。しかし、そのような場合でも定時で帰ることができる方法はある。後ろのものを前にしたらいい。始業時間前に仕事をすればよい。


残業だと2−3時間かけてだらだらとやってしまうような仕事でも、始業時間前、つまり「前業」だと、始業時間という締め切り時間があるために集中力が高まり、1時間くらいで終わる。しかも、朝は夜に比べて頭もよく回るので、時間は短くても密度が濃い仕事になることも多い。朝早くから仕事をやっていると、「あいつはよくやっているな」と周りの者は思ってくれるだろう。


上司が帰らないから帰れない人も多い。しかし、いい仕事をしていれば上司も文句を言わない。必ず帰るんだという決意を持って、帰ってしまうことが重要だ。終わってなくいなくても帰る。翌日の始業前に爽やかな頭で仕事をやればいい。ほかの人が来る前に終わらせようと必死になるので、いい結果がでるはずだ。はじめは罪悪感があったりするものだが、先に帰っても、案外周囲はそんなに気にしていない。慣れてくると、何か言われたとしても「明日の朝やります」と流せるようになる。


人生の目的は自由の拡大にあると思う。経済的、時間的、肉体的、精神的な自由、それらは生活に困らない程度のお金や、自分の好きなことをする時間や家族との時間、健康な身体や満足できる毎日のことである。よい仕事をする人ほど自由が多く手に入る。時間もある程度自由になるし、多少のわがままも許される。

幸福への近道は、残業ではなく「前業」にある。