長期総合計画の不思議----市町村アカデミー(全国市町村職員中央研修所)で研修講師

千葉県幕張にある市町村職員中央研修所。全国の市町村職員の研修を一手に引き受ける大きな施設である。地方公務員の研修の仕組みはよくできていて、全国規模のこの研修所以外に、地方(例えば東北というくくり)や各県ごとに職員研修所や公務研修所などの名前で建物とステムがあり、公務員は研修をうける機会が豊富に設けられている。


また期間の長さも多様で、私がかかわった研修だけでみても2週間とか1ヶ月などの泊り込みの出張型の大型の研修も結構ある。

研修のメニューの多様で充実しているという印象も持っている。首長や総務省の役人やそのOB、大学の自治関係の研究者、ディベートなどの講師などを含む民間の講師など、公務員の能力アップに注力している。


今回は、専門事務研修課程の「企画事務」という分野の研修だった。北海道から沖縄までの市町村職員が17日から26日まで10日間というスケジュールで、私の担当は3コマだ。


最年少は25歳、最年長50歳で平均年齢は36歳。男性45人、女性5人。市が38人、指定都市1人、町村11人、総務省1人、階層で見ると課長補佐級が4人、係長・主査級が18人、主任・主事・技師等が28人。職務警官で見ると、1年未満が9人、2年未満が11人、3年未満が5人、3年以上が5人。地域でみると北海道が2人、東北が9人(宮城県仙台市名取市)、関東が6人、北信越が2人、東海が8人、近畿が2人、中国7人、四国4人、九州9人、その他1人。


企画調整課・産業経済課・総合政策部政策推進課・財政部企画調整課・観光推進課・政策推進課・政策企画課・総合政策課・企画政策課・福祉総務課・地域振興課・教育委員会総務課・議会事務局・企画課・住宅課・商工観光課・地域づくり支援課・総務課などが受講生の所属の名前である。市の長期総合計画などを担当する重要部門である。



長期総合計画は10年ごとにつくるということになっているのだが、私の見聞では、前の総合計画を総括している自治体は皆無である。10年前の計画をリファーせずに、新しく夢を描くのである。なぜなら人口10万人の市は10年前は12万人の市にするという計画だったが、実際は8万人に減った。だから責任問題になるからこの計画は人目に触れないようにお蔵入りにして、人口8万人を前提に10年後の10万人のを市になる計画をあらたに立てる。こういうことになっている。なぜうまくいかなかったかという原因を調べたり、総括するという当たり前のことが行われていなくて、市民や議会も当然のこととしている。


また市民のニーズの深堀りが不十分でいきなりプランから入るという大雑把なやり方も問題である。PLAN-SO-SEEというが、本来はSEEからはじめなければいい計画ができるはずがない。

こういったことはどの県の長期総合計画も同じになっている。だから失敗してきたというのが私の見方である。


だから、財政が破綻して合併という方向に向かわざるを得なくなったのである。形はできているのだが根本がおかしい感じがする。こういうことに担当者も疑問を持たねばならない。今回もこの点も指摘しておいたが納得してもらったと思う。


この研修所は通称で市町村アカデミーという。過去に女性だけの受講者のプログラム、広報関係の担当者、財政予算担当者、企画担当など、様々なプログラムで教えてきた。受講者のかなりの部分は私が毎週出しているメルマガ「ビジネスマン教授日記」を見てもらっているから影響は持続しているはずだ。

途中数年なかったが、もう、6−7年通っていると思う。私にとっても市町村の現場で何が起こっているを知る勉強の機会でもある。