映画「あなたを忘れない」(日韓合作)--JR新大久保駅から転落した男性を助けようとした韓国人青年の物語

日韓合作映画「あなたを忘れない」を観た。

2001年1月26日、JR新大久保駅のホームから線路に転落した男性を助けようとして、命を落とした韓国からの留学生、イ・スヒョン(26歳)さんの実話をもとにつくられた作品である。当時この話題は美談としてマスコミに取り上げられ、多くの国民がこの青年の行為に感銘を受け、その死を悼んだ。この青年がつくっていたホームページは全国から書き込みがあり、結果的にこのホームページは主がいなくなっても閉鎖することができなくなって、今も存在している。この映画のおかげでまた賑やかになっているはずだ。

この行為には当時感銘を受けたが、「ホームページはお墓である」と著書で主張していた私はその実例がこれだと思ったことがある。


この映画で主演した韓国人俳優、イ・テンソンは魅力的な好青年を演じるにふさわしい雰囲気を持っており好感を持った。線路上でもはや間に合わないと悟ったとき7秒間にわたって電車に対して止まれという合図を出す姿のラストシーンに向かって、様々の事件と人間関係が進行してしていく。私たち観客は結末を知っているために、一つひとつのシーンに切ない思いを抱きながら観ていくことになる。


このイ・スヒョンという青年の写真がプログラムに載っていた。

目元のスッキリした、きりりと引き締まった、いい顔をしている。真正面から世の中を見ている目である。

韓国人作家のカン・ヒボンが関係者にインタビューしている文章があった。

関係者が語るイ・スヒョンの実像に興味を持った。


父「スヒョン(秀賢)はとても意地っ張りで、自分の主張を曲げないところがありました」

高校の同級生「正義感が強かった。スヒョンは強い人に強くて弱い人に弱かった。人にこびへつらうことはなかったですよ。いじめられている人間を助けたことも何回かありました」

高麗大学の同級生「仲間から信頼される人間だった」「人間生活の基本をしっかり守るタイプでしたね」


当時の新聞記事から。

「命かけた2人・見知らぬ男性救おうと、、。恋人へ電話「今から電車に」が最後に。母親「責任感強く、、、でも無駄死に」

「同じ涙 日韓で。新大久保駅事故 李さん哀悼の波。李さんのHPアクセス14万件。日本人メール「私は見ていただけだろう」」

「新大久保転落事故 李さん、韓国の道徳教科書に」

「韓国人留学生に新宿区が表彰状」「新大久保駅の事故 一周忌に500人献花」


自らのホームページでイ・スヒョンは次のように語っている。

「最高の人生を楽しみながら生きていきたいですね。この「楽しく」というのは、いつも遊んでいたいという意味ではなく、仕事にしても勉強にしてもできりだけ自分がやりたいようにやるということ