紳士服売り場のYさん、ウィルコムW03アドバンストes、ビデオ「春の雪」

私には計画魔のところがある。計画の無いところに実績は生まれないと思う。

しょっちゅう、これから先の予定を考えている。「これから」には時間の長短があって、一生という長い時間や、数年先までや、この一年、そしてこれから4週間、などがある。

今の関心事は大学の授業がなくなる期間に何をやるか、である。「大学の夏休みは学生の夏休みであって教員は休みではない」ということなのだが、それでも授業がないのは精神的にも楽になる。この土日は計画を立てる週末としたい。


7月に授業や試験期間が終わり、8月に入ってからはオープンキャンパスやFD研修会などの大型の行事がようやく終了したので、今日は仙台市内に出て、行きつけのSデパートの紳士服売り場のYさんを訪問する。この中年のYさん(男性)の売り場には仙台に来て以来ずっと通っている。センスと見立てがいいのでお世話になっている。最初たまたま選んでもらった服を着て昔からの友人に会ったら「お前、スタイリストがついとんのか?」と言われたことがあり、昔から洋服のセンスがいいといわれたことは皆無なので、このYさんをずっと頼りにしてきた。数日前、宮城大の非常勤講師の方だろうが「あの先生はオシャレだ」とYさんに言ったそうだが、Yさんのおかげである。今回の服選びもあっという間に決まった。

この人は絵描きでもあり、夕食後は必ずキャンバスに向かう。この小さな売り場の中にも小なさな自分の絵の展覧スペースを持っている。数年前に自宅を新築したとき、遠くからやってきて自宅の絵を描いてくれてプレゼントしてもらった。今もリビングにかかっている。なかなか素敵な人生である。


仙台駅東側に出て、ヨドバシで目当ての「ウィルコムW03アドバンストes」を購入する。携帯電話とパソコンとテレビが一体になっているという説明がぴったりする優れものである。1年近く使った機種からの変更だ。こういう製品は日進月歩だ。バージョンアップされた新しい生活が始まる予感がする。

このヨドバシは数年前、反対側にラオックスの入った大型ビルが進出し、危機をいわれたことがある。2階建ての庶民的な売り場を持つヨドバシに勝ち目はないというのが通説だったのだが、時間がたつと逆にラオックスが潰れてしまった。危機感を持って難局にあたったからあろうが、ここの店員の特徴は「商品知識に強い」ということだろう。勉強会を開き知識を豊かにして強い売り場をつくったのだ。商品の特徴や他機種との比較なども行ったうえで勧めてくれるので安心感がある。今では何かあればヨドバシに行くようになった。


帰って休養をとりながら、三島由紀夫の名作「春の雪」の映画のビデオを観る。三島のライフワークといわれた「豊饒の海」全四巻が出た当時の大学時代、優れた構想とまばゆい文章に彩られた世界に魅入られむさぼり読んだ記憶がある。

輪廻という考え方を下敷きにした小説で、各巻の主人公は20歳で夭折する。第一巻の主人公清顕(きよたか)の友人の目でこの全四巻を通すのだが、この友人は清顕の生まれ変わりである男性や女性を見つめるというスタイルだ。二巻は「奔馬」(右翼的思想を持った剣士)、三巻は「暁の寺(タイの王女)、四巻は「天人五衰」で、最後に再び清顕の恋人で出家した聡子が登場するる物語の構成になっていたと記憶している。そしてこの輪廻転生が溶解する最後の不思議な瞬間も印象深かった。

この作品が三島由紀夫の最後の作品で、その後三島は市谷の自衛隊に乱入し隊員に決起を促し自決する。久しぶりに読みたい作品である。