思考と交流を得手とする世代の登場---日記(ブログ)をつける習慣の



世界に7000万以上のブログが存在し、毎日12万以上の新しいブログが登場している。
今年になって日本語ブログが全体の37%を占め、英語の36%を追い越して首位になった。3位は中国語で8%。
英語を母国語とする人口は日本語人口の3倍であるから、日本人は人口一人当たりで英語母国語人の約3倍の割合でブログを書いていることになる。また中国語人口は日本の10倍だから、日本人は一人当たりで中国人の40-50倍の割合でブログを書いている計算だ。
さらに日本人が一日平均30分をブログに費やしていると仮定すると一日当たり28万時間という計算になり、勤務時間中に書いている場合もあるから、時間当たり平均賃金2000円を掛けると年間で2000億円の生産が失われている。
これはアメリカのブログ検索サービス会社テクノラティの調査とそれをもとにしたある学者の分析である。


大雑把に言って日本人はアメリカ人の3倍の割合でインターネットを使ってブログを書いているということである。日本には日記を書くという文化があった。最近、近代を中心に人物記念館を訪問していて感じることだが、毎日日記をつけていてそれがそのまま残っていることが多く、先人の豊かな精神生活を垣間見ることができる。

この日記をつける習慣は昭和生まれ世代あたりからは薄れてきたと思うが、最近のブログの流行を見ていると、この習慣が新しい形で復活つつあると感じる。先ほどのデータから計算すると日本では約2600万人がブログを書いていることになる。
日常生活の出来事を記録し、そこでの哀歓を描き、自省し、明日への活力を得ていく、そして過去の日記とは違ってその内容をインターネットで公開することを通じて人々との交流が爆発的に多くなっていくという新たなライフスタイルが定着しつつあるということだから、長い目で見るとこのブログを書く習慣の及ぼす影響ははかりしれない。

考える力が弱くなった、情報に惑わされる人が多くなった、というのがマスコミの現代人や若い世代に対する警告であるが、そうだろうか。
書くということは考えることである。日記を書くという習慣の新しい形での復活によって、表現力の涵養のみならず表現力に深く関係する考える力も磨かれていくだろう。そして他の人の反応によって思考が深まっていくという経験をすることも貴重だ。
特にブログを書く層は圧倒的に若い世代が多いから、物事を深く考える若い人が今後多数出現する可能性がある。思考と交流を得手とする世代の登場である。