「青空文庫」が全国8000の図書館に6500冊の本の入ったDVDを無料配

インターネット電子図書館青空文庫」は、著作権の消滅した作品(著作権は50年)と、著者や出版社が「自由に読んでもらってかまわない」とされたものを、テキストとHTML形式で公開するという素晴らしいサービスをしている。私たちは漱石や芥川や太宰の作品をパソコン上で自由に読めるようになった。

この青空文庫が今年10周年記念して画期的なプロジェクトを実行している。

青空文庫の一式をおさめたDVD-ROM付き冊子『青空文庫 全』を、約8000の図書館に寄贈する。この計画は、社団法人日本図書館協会との協賛事業である。
DVD-ROMには、青空文庫収録作品のうち、著作権の切れた作家と翻訳家407名の、約6500点がおさめられている。10月27日からの読書週間に合わせ、公共図書館、大学、短大、高専付属図書館計約3000には10月末に、高校図書館5000には11月20日ごろ届けられるそうだ。
この費用は300万円で、青空文庫のトップページの広告収入からの蓄積金でまかなうという。

ということは、全国の図書館に6500冊の本が一気に寄付されることになる。
蔵書数の増加に腐心しており、そして文芸書の購入数が少ないという悩みを抱える私の大学の図書館(私は責任者)も文芸関係の書籍が一気に6500冊増えるということになり、大変ありがたいことだ。

今、公共図書館大学図書館を問わず、財政の悪化で図書購入経費の捻出が課題となっているからこれは朗報である。このDVDは図書館でコピーを自由にしていいから貸し出しもする側される側も実に便利だ。

著作権については、50年から70年に延長しようという動きがあり(多分、著者側の主張に沿うもの)、そうなると文化の蓄積を生かそうという青空文庫のような流れが停滞してしまう。青空文庫はこの反対キャンペーンの一環としてこのプロジェクトを実行したということである。
50年後も市場で生き続けている本は少ないから、私たちは無料で、あるいは図書館で昔の本を手にすることができることは素晴らしいことだ。

インターネット時代はこういうことが起こるから面白い。
このプロジェクトと青空文庫の果敢な試みを支持する。
青空文庫の主張は、全国の図書館関係者と利用者の支持を受けることは間違いないだろう。