「北大路魯山人と岡本太郎」展

山形美術館で開催中の「北大路魯山人岡本太郎」展を見てきた。

写真左から、一平、かの子、魯山人、太郎。

20世紀の美術界で異彩を放った美の追求者北大路魯山人(1883−1959年)と「芸術は爆発だ!」の天才・岡本太郎の接点は、意外なところにあった。
魯山人は書の大家であった太郎の祖父の岡本可亭(1857−1919年)に弟子入りし、同年代の超売れっ子漫画家だった可亭の息子の一平(1886−1948年)、そして人気作家の妻・かの子(1889−1937年)と深い交流を重ねている。だから魯山人は子どもの頃から太郎の成長の様子を知っている、こういう関係である。

かの子が書いた「食魔」という小説には魯山人がモデルと思しき主役が登場する。
律動するような黒い線とざわめくような原色で彩られている岡本太郎の絵は、祖父可亭の書と一平の漫画の描線とかの子の華麗な文学の所産であるとの見方がある。

この展覧会には、魯山人の書、陶芸作品など64点、太郎の絵画、立体、書、陶芸なお54点、可亭・一平・かの子の書や原稿など23点が展示されていた。太郎の没後メキシコで発見された「明日の神話」の原画も公開されていた。「明日の神話」は第五福竜丸ビキニ環礁での被爆という悲劇を人類が乗り越えていく姿を描いているという。

魯山人の書や陶器を実際に見るのは初めてだったが、ざっくりした器や重厚感のある桶、美しい壷などに目を奪われた。魯山人の作品の頒布もされていたが、織部の皿が230万、ぐい飲みが55万という値がついていた。

親子ほど年の違う魯山人と太郎。どちらも毒舌家で唯我独尊であったが、そのやり取りと互いの人物評が書いてあり、楽しめた。

岡本太郎の本はたくさん持っているので、魯山人の本を中心に何冊か買ってきた。現在読みかけの「知られざる魯山人」(山田由)とあわせて年末年始に読むことにしたい。楽しみだ。