「泣いて笑ってホッとして・・・」(浅沼ヒロシ)--1分で1冊読める

ビジネスマンが仕事をしながら一年間で何冊本を読めるだろうか。週2冊のペースで100冊読む人ならかなりの読書家といえるだろう。「泣いて笑ってホッとして」(メディア・ポート)の著者の浅沼ヒロシさんは、このペースで書評ブログを3年以上にわたって書き続けてきて、それが編集者の目にとまり一冊の本に結実した。
600字というコンパクトな内容の紹介、小さい文字、中くらいの文字、大きな文字という3種類の文字を用いてその本のキモとなる言葉を選ぶ手法、2行でその本の本質を表す歯切れの良い言葉、そして各章の命名「笑っちゃう!」「泣いちゃう・・・かも」「ホッとするなあ」「へえー、そうなんだあ」などもよく考え抜かれていて、楽しく優れた本に仕上がっている。
浅沼さんはブログという手段を手にして書評を続けていくことによって、高野登、林文子、北野幸伯、吉岡英幸、松山真之介、久米信行、などの著者と知り合っていく。表現は力だということがよくわかる。世界がひろがる面白さを浅沼さんは知った、後は一直線にこの「ブログ書評道」をまっしぐらに進んでいくことだろう。
「メール道」の久米信行、「早朝起業」の松山真之介、「リッツ・カールトンが大切にするサービスを超える瞬間」の高野登、「音の雲」の富田勲、「父生術」の藤原和博、「どうもいたしません」の壇ふみ、「それでいいのか蕎麦打ち男」の残間理江子、「本がなくて生きてはいける」の岸本葉子、「生きる意味」の上田紀行、「「白洲次郎 占領を背負った男」の北康利、「無名」の沢木耕太郎、「かもめ食堂」の群ようこ、「踊る大捜査線に学ぶ組織論入門」の金井先生、など知り合いだったり、友人だったり、会っていたり、インターネットの世界で知り合っていたり、書評に取り上げてもらったり、食事をしたり、一緒に旅行したり、飲み仲間だったり、などの人がたくさんいた。
これもビジネスマンとしての仕事、NPO法人知的生産の技術研究会、著書の出版、ブログ、などがきっかけで知り合いになった人たちだ。ここでも何かを続けることによる世界の広がりを改めて感じることになった。
好きな本を読み、ブログに内容を紹介するという行為は誰でもできそうだが、3年という期間没頭し、継続し、面白さを目覚め、そしてそれが本に結実するという過程は、人間としての充実と外部からの評価が形になったという意味で素晴らしいことだ。
「3年」は長いようでもあり短い時間でもある。どのような分野でも10年という壁があり、卒業とか入門とかのレベルに達するといわれているが、まずは3年を身近な目標とするのがいい。
いずれブログで書評をやりたいものだ。