日本ペンクラブ例会(出久根達郎講演会)、そして酒のペンクラブへ

k-hisatune2008-09-16

17時半から東京会館で行われた日本ペンクラブの9月例会に出席。7月に続いて2回目。本日のミニ講演の講師は直木賞作家の出久根達郎さんで演題は「古本屋になるまで」。

出久根さんは、昭和19年3月31日生まれ。中学を卒業後,東京月島の古書店にすみこむ。昭和48年芳雅堂書店を開業。古書に関する話をかきはじめ,平成2年小説「無明の蝶」で注目される。4年「本のお口よごしですが」で講談社エッセイ賞,5年「佃島ふたり書房」で直木賞茨城県出身。作品はほかに「古書彷徨」「猫の縁談」など。

 最近古本屋になりたい若い人が多く、業界として古本屋養成講座なども開くようになっている。開業するには本の仕入れなどもあり案外元手のかかる商売である。最近 は客の年齢層が高くなってしまった。子供たちに古本屋をめぐる楽しみを教えたいものだ。

出久根さんは自分の師匠であった高橋太一(?)さんから教わった15歳からの古本屋修業の日々と知恵の一端を見せてくれた。インデックスのついた本は高い値段が付くこと、藤村操「煩悶記」(偽著)という掘り出し物が147万円で最近落札した話、終戦直後にコンサイス英和辞典が高く売れた話題(内容ではなく煙草を巻く紙として有用だった)などを30分語った。額が広く、眉が太く、顔の色つやがいい。手振り身振りを交えて熱演で、人柄の良さがにじみ出た温かい雰囲気の講演だった。

終了後はパーティ。阿刀田高会長の挨拶のあと、新入会員が4人紹介され、私も壇上で短い自己紹介をする。会場で同じ企業で働いていた女性の岩井さんをみかけて挨拶。岩井さんは確か俳句をやっていた人で当時会員だと聞いたことがある。阿刀田会長、吉岡忍常務理事、死の哲学をやっているアルフォンス・デーケン先生らと歓談。

その後、日本ペンクラブへ推薦していただいた小中陽太郎理事夫妻から誘われて、神田の「樽平」で行われている「酒のペンクラブ」の集まりに参加。日本ペンクラブに出席ていた、樋口裕一さん、八木哲郎さん、近藤節夫さんも一緒。ここにもいろんな人がいて、楽しく過ごす。この店は、酒と料理が絶品である。「酒のペンクラブ」の会場になっているほどのことはある。ここでもビジネスマン時代に付き合っていたテレビ会社のプロデューサーがいて久しぶりの邂逅だった。挨拶を聞いたり名刺を交換したりしてわかったことは、この人たちは新聞やテレビ、出版社などマスコミ人とそこに出稿もしている書き手たちの集まりだということだ。全員が酒のみであることも会員の条件に入っているのかもしれない。先日は、茅ヶ崎開高健記念館を訪ねる旅をこの会で催したとのこと。10月21日、11月11日に次の会合がある。
もうすぐ出る回報の原稿をもらった。小中陽太郎先生の「夏三題 または夏子の酒、夏の酒」、シダックスの河本茂樹さんの「今日も酒に感謝の毎日」、「女性蔵人アンケート」、岩辺泰吏さんの「夏はオンザロック」、近藤節夫さんの「8月の特別会合」というタイトルで開高健記念館の臨場感のある訪問記などが載っていた。実に楽しい会だった。