教師力

8月29日に行った「明治大学図書館職員スタッフデベロップメント(SD)プログラム」の第2回目の講演。13時半から16時半まで、お茶の水にて。
文部科学省の「特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)に選ばれた「教育の場としての図書館の積極的活用」の取り組みの充実を図るために図書館職員の資質向上のために高度な研修を行うという目的の一環の講座だ。
この「特色GP」では、学部間共通総合講座として、図書館員が14回の講義を受け持っている。インターネット講習、明治大学図書館の施設・蔵書サービス、図書情報の探し方、図書の歴史と図書館、新聞・雑誌情報の探し方、書物の愉しみ、レポート・論文の書き方、文献の取り扱い方、著作権などの講座が並んでいる。こういう講座の講師となる職員への研修である。
対象者は明治大学図書館の職員が中心であるが、NPO法人大学図書館支援機構が事務局を担当しており、そのスタッフである立教大学図書館と東京家政大学図書館の職員も受講。講演終了後のアンケートの手ごたえもあり、満足感を持って会場を後にした。


19時からは赤坂で行われたNPO法人知的生産の技術研究会のセミナーに参加。教育ジャーナリストで鶏鳴学園代表の中井浩一さんが講師。テーマは「学力低下」。

80年代の受験地獄や学歴社会に対する反省として1984−5年の臨時教育審議会答申で、「ゆとり教育」の考えた方が浮上し、個性化・多様化の流れが強まった。その後学力低下問題が大学側から提示され、やり玉に挙がったのがゆとり教育となった。しかし、本当のところは学力低下を示すデータはなく印象論である。選択科目が中学高校から入ってきており確かに従来言われてきた学力は下がってはいるだろうが、問題は「動機」のなさである。少子化の流れの中で大学全入時代になり、何をやりたいか、何になりたいかという将来像が見えていない。家庭環境や地域環境の変化で、社会の問題に直接触れることもなくなった。こういった与件の中でどのように教育をしていくかがテーマだ。

こういう話だった。

参加者からはいろいろな教育論が出たが、私は地域の問題解決に学生を連れ出し、生で旬の問題に直接ぶつけ、その成果を地域に発信するという教育方法をとってきたという話を実例を挙げながら語ってみた。学生に問題を押しつけて嘆くのではなく、教師の教育力に論点を合わせるべきだと思う。こういったやり方は、教師の力量や社会とのネットワークや、問題に対するセンスや、構想力、具体的な問題解決力、そして真の意味での指導力が問われるから、教師側の力量の涵養にもつながってくる。そういった教師の数を増やすことが、本当の課題だと改めて思った。