(社)国立大学協会主催「大学マネジメントセミナー」で講演

k-hisatune2008-10-02

東京一ツ橋の学術総合センターで行われた社団法人国立大学協会(国大協)の「大学マネージメントセミナー(企画・戦略編---大学経営者のための中長期戦略を考える)」で15時半から講演。

学術総合センターは、独立行政法人国立大学財務・経営センター国立情報学研究所、そして国大協などが入っている学術行政の中心である。今回のセミナーはこのビル内の一ツ橋記念講堂で行われた二日間のセミナー。文部科学省や大学経営の専門家が講師となるセミナーで、独法化された旧・国立大学の役員(学長を含む)、副学長、部局長、事務代表者200人ほどが受講している。
受講者リストを見ると、北海道大学から沖縄の琉球大学まで80大学が並んでいる。役職は、学長もいるが、「理事・副学長」という肩書が一番多い。その人たちの担当は、総務、企画調整・広報、総務・財務・施設、社会連携・情報・国際交流、財務・エンロールマネジメント・業務改善、研究・国際、企画・戦略、教育、学術、人事・点検・評価、人事労務、目標・評価、教育・学生、、などで、現在の国立大学法人が抱えている課題がみえる。国立大学は法人化して4年半たち、第一期の中期目標・中期計画の期間(6年)がそろそろ終わり、次の中期を作成する準備に入っているところで、そのためのセミナーである。

私に与えられたテーマは、「地域再生と大学の役割」。「見晴らし台から見える景色」「宮城大学11年の総決算−−−教育を中心に」「「教師力」の涵養こそが大学のの生き残る道」という順序で一時間強の講演を行う。こちらも受講者もリラックスした雰囲気で、笑い声も多かった。ビジネスマンから転身した者として、仙台でやってきたこと、考えたことなどを一つのモデルという位置づけで語ってみた。

終了後のパーティに最初の30分ほど参加。銭谷文部科学省事務次官の挨拶、主催者側の国大協の飯田横浜国立大学学長の挨拶と乾杯。山形大学の三はし理事・副学長、岐阜大学の安田理事・副学長、佐賀大学向井理事・副学長らと名刺交換をしながら歓談する。

会場を出て、霞が関ビルに向かう。17時50分からM出版社の編集者と今取り組んでいる大事な本について一時間ほど打ち合わせ。

19時からは、NPO法人知的生産の技術研究会のセミナーに参加。講師は、経済分析で定評のある武者陵司ドイツ証券副会長で、テーマは「世界金融市場の展望と日本の可能性」。一年ほど前に書かれた「新帝国主義論」(東洋経済)の仮説理論(一国経済から世界単一経済に変化した)が見逃していたこと、生きているフレームなどを中心に、現在起こっているアメリカから発した危機を論じてもらった。9・11以降のアメリカは空前のばらまき政策(超金融緩和・空前の財政出動)で一時的に回復。結果的にアメリカの政策は世界全体の中ではケインズ政策の役割を果たして中国やインドの勃興を招いた。賃金格差の活用で先進国経済も有利に展開してきた。それがなくなればこの循環は途絶える。現在は完全なる国際分業体制で、日本はハイテクニッチというポジションを得ており黒字は増加している。JAPAN INSIDEというクオリティは競争相手もなく高く売れる。
アメリカの金融の半分を占めていた証券会社、投資銀行はマーケットの意思で一気になくなってしまった。アメリカ経済に発した危機の今後のシナリオは、恐慌か生還かの二つに一つ。大不況、大倒産、そして戦争への道。この論者は多い。資産価格の反発で持ち直すシナリオ。半年から1年で住宅価格が上昇するから(在庫調整)半年で大転換。私は後者の説をとりたい。
終了後、武者さんを交えて二次会で熱い議論が続く。