大学院修士論文予備審査会--社会人大学生のテーマは興味深い

今日は土曜日だが、朝からずっとスケジュールがつまっていた。
9時からは、大学院の修士論文予備審査会、12時半からは大学院(研究科)委員会、13時からは学部教授会。15時半からは学部の1年生向けのゼミ説明会。
午前中の修士論文予備審査会は、3月に終了予定の7人の院生が15分発表し、15分間5人の教員の質問に答えるというやり方になっている。私が属している教員チームは、今泉忠、村山貞幸、望月照彦、徳岡晃一郎の各先生。

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「地域企業の連鎖がもたらす経済」は、地域産業を構成する母体企業を核としたネットワーク形成と連鎖モデルの提示を研究目的として、技術集積の高度化および高密度ネットワークによる場を用いた、日本独自の地域を活かした新たな地域産業連鎖モデルが形成され、より強力な経済力をもたらす、という仮説を検証しようという論文。

「知的価値(知価)立国を目指す日本の未来戦略--東亜同文書院モデルを事例にしたグローバル人材育成に関する研究」は、ロシア人材の輩出を目指したハルピン学院と並んで、中国人材を育てた東亜同文書院という成功した人材育成モデルを研究し、日本の国家戦略に生かすことを目的とした論文。

「企業組織の変革におけるノットワーキングの有効性についての研究」は、ネットワーキングとの比較を行いながら、無数の結び目(ノット)に応じた協働のあり方を研究する論文。

「X社のSaaSによる研修ビジネスの展開」は、カスタマイズされたソフトウェアの機能をネットワーク経由で「利用」するサービスを用いたeラーニング事業のビジネスモデルの構築を目指す特定課題研究。

「生販連携による青果販売モデルの研究」は、生活者と販売者が連携した「生販連携モデル」の提案を研究目的として、「学び」をキーワードとしてライフスタイルの構築までも視野に置いた研究。

「新たな森林経営モデルの構築--ライフスタイルの創造」は、健全な森林経営に向けて新たな生産体制モデルと新たな市場化モデルの構築に関する実証経験を踏まえた研究。

「食品サプライヤーによる消費者への安全性情報提供モデルについての研究」は、食品の安全性を証明する情報提供のあり方のモデル化を志した研究

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それぞれの院生の修士論文執筆に向けての構想、専門分野の多彩な先生たちとの質疑応答、アドバイスなどが行われるが、全員が職業を持つ社会人大学生だけに、扱うテーマが今日的であり、大変興味深い時間だった。自らの仕事を通じた問題意識から出発するテーマが多く、現在各領域で起こっている問題がわかる。

終了後、すぐに研究科委員会で予備審査会の報告が5つのグループからあった。
他のグループでは、中東マネーを活用した医療ビジネス、切り花のビジネスモデル、学歴と学校歴、ジェンダー論、メンタル系人材ビジネス、企業買収防衛策、知的財産権制度、倒産、金融商品投資モデル、環境リスク、鉄道貨物輸送、インターネット以降のメディアビジネス、物流、雇用制度、情報システム、酒類卸売業の成長戦略、問題解決力とトレーニング手法、オートリース事業、カーシェアリングビジネス、経験価値、CS、、、などのテーマによる発表の講評があった。全部の発表を聞きたいところだ。


春学期は私の「実践知識経営1」は22名の受講生だったが、秋学期の「実践知識経営2」は28名の登録があった。平日、土日あわせて全部で62科目というラインナップだが、受講生が20名以上なのは、実践知識経営2、知識経営論2、知識イノベーション論、企業内コミュニケーション、ヒューマンリソース、実践企業経営概論だった。「知識」や「実践」、そして「コミュニケーション」「イノベーション」というキーワードが社会人大学院生に響いているようだ。