「図解コミュニケーション」で図書館職員の仕事を見直そう

ある団体の機関誌に書いたエッセイ。9月末に書いたのでもう出ているはずだが、もう出たのかなあ。

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私は文章と箇条書きを主たるコミュニケーション手段とする現在の組織や仕事のあり方に対して疑問を持っており、「図解コミュニケーション」という造語を用いて気持のよい社会をつくろうという主張をしています。

最近大学図書館職員と接する機会があり感じたのは、図書館という狭い世界だけで完結している人が多いことです。自分の図書館が属す大学の理念や人材育成の方向とは無関係に毎日の仕事をこなしている人が多いように見受けられました。図書館職員は他の組織と同様、あるいはそれ以上に長年文章中心の教育を受け、文章を操りながら仕事に接してきています。

どのような仕事も本質はコミュニケーション活動にあり、理解・企画・伝達というサイクルを上手にまわしていければ成果があがります。大学の理念を理解したり、図書館の考え方を学生に伝達することは他人とのコミュニケーションであり、新しい企画を考えることは持っている知識や経験とコミュニケーションをとることです。このコミュニケーションの中心が文章ですから、仕事の現場は見晴らしが悪く、混乱の中で私達は疲労感と徒労感にまみれているのです。

文章最大の特徴はごまかしがきくことです。また箇条書きは各項目の大きさもあらわせないし、重なりも示せないし、項目同士の関係も表現できないから、本質をつかむことは難しい。「全体の構造と部分同士の関係」を明らかにできる図解コミュニケーションという考え方を取り入れたらもっと楽しく仕事ができるはずです。大事なことは各項目の関係で組みあげられた体系図です。図を描くという行為は、関係を考えることであり、実は考えることに直結しています。

目の前の学生に対するサービスという仕事は大事なのですが、大学の人材養成の一端を担っていることを改めて確認してみましょう。自分の仕事と図書館との関係、図書館と大学の関係、大学と社会との関係、、、を考えながら図にしてみましょう。例えば自らの大学の人材育成の理念と蔵書のマッチングなどに特色を出していますか。こういった「関係」を意識して仕事にあたることによって、初めて自分のやっている小さな仕事の意味と意義が腑に落ちてきます。図解コミュニケーションの考え方とその技術を学んで、広い社会とつながって、いい仕事をしたいものですね。