オール多摩大で寺島実郎先生の講演会・懇親会

k-hisatune2008-12-02

「アジア太平洋時代と大学の戦略」というテーマで、寺島実郎さんの講演会を東京駅から歩いて数分の日本工業倶楽部で行った。
今回の主催は多摩大学大学院同窓会・多摩大学経営情報学部同窓会・多摩大学経営情報学部後援会で、共催は多摩大学ルネッサンスセンター・多摩大学総合研究所・多摩大学統合リスクマネジメント研究所、協賛は学校法人田村学園・多摩大学、という組み立て方になっている。私はこの会の発案者でもあり何回かの準備会にも参加している。オール多摩大で、次期学長・寺島さんの講演を聴いて結束を固めようという趣旨である。

講演者の紹介役を依頼されたので、寺島実郎という人物の全体像を語ることに挑戦してみた。
歴史と地理を踏まえて時代のテーマに挑むすぐれた著書を一定のリズムでたゆまず生み続ける知的生産者であることを土台に、日本を動かす5つのセクター(産学官政言)に大きな影響力を持っている。経済界では、三井物産の常務執行役員を足場に東証や日本貿易会などの財界活動を活発に行う。官界では、日本総合研究所会長として文部科学省経済産業省国土交通省農林水産省内閣府総務省環境省などの官庁の委員に数多く就いている。言論界では、新聞・雑誌・テレビなどの露出が多く、また日本テレビやTBSの仕事もしている。政界では、自民党民主党をはじめ各政党からの接触が多く、党派を超えた存在となっている。学界では、中央教育審議会国立大学法人評価機構の委員や東大、お茶の水大の運営諮問委員、そして早稲田大・宮城大の客員教授、そして現在は多摩大学将来構想委員会座長。日本でもっとも情報が集積している人かもしれない。
そして、日本と世界の全体を膨大で最新の情報源と向き合いながら把握し、それを材料として時代のテーマに解決策を提示するというスタイルである。多摩大の中興の祖になるだろう。

講演の後半のみ、内容を記しておく。

  • 日本の課題は、産業と自律
  • 日本の弱点は、エネルギー、食糧、資源
  • パラダイム転換が必要
  • 産業技術を用いて農業を変え、食料自給率を向上させる
  • 日本の国土面積は世界60位程度だが、海洋国家としては世界6位。海洋資源が豊富であり、開発技術の開発が重要
  • 海洋資源開発は宇宙開発技術とも関係しており、資源探査技術が重要
  • 自動車産業というプラットフォーム型産業以降の新しい産業の育成が急務。アジア大移動時代を睨んだ中型JET機産業。少子高齢化社会を睨んだ問題解決型ロボット。
  • 個別要素を組み合わせて全体を作り出していくエンジニアリングという考え方を用いて、日本を浮上させたい。日本には個別要素はすべてあるが、ガバナンスがない。それは束ねる力である。花を育てる技術ではなく、剣山を思いつく力が不足している。
  • 多摩大学。教壇に7人の新しい血。地政学的知が重要。留学生、教員、地方。湘南はホスピタリティマネジメントへ。創業の精神に時代のニーズを加えて小粒だがピリリと辛い大学へ。

懇親会では、さまざまの立場の人たちと交歓できた。

終了後、パレスホテルで、野田学長代行、星野先生、望月先生、田坂先生と1時間ほど歓談。

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