今週のリレー講座は、教育評論家で法政大学教授の尾木直樹さん。的確な数字と豊富な現場事例で説得力のある講義だった。2500回くらい講演している。
日本は国としての教育投資が少ない。OECDは知識基盤社会では、人生をひらき社会参加することが学力であると定義している。日本は国連から教育について勧告を受けている。新学歴社会(経済格差が教育格差になる)。大学は人生を豊かにするところ。「世界」とは、米英ではなくヨーロッパのこと。
教育の現状は極めて深刻だ。尾木さんの本を読まねば。
以下は、レジメから。
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日本の子どもと教育---世界潮流の中で---
1.日本の子どもの現状--壊れる子どもたち
- 心を病む子ども--子どもの自殺(学生・生徒886人、2006年)、低い自己肯定感(他人と比べて自分に価値あり:米89%。中96%、日38%)
- 暴力行為--過去最多・不登校・いじめ(いじめの定義変更:いじめられたと本人が感じた場合)
- 子どもの貧困:無保険ー約3万3千人(2008年、厚生労働省)ーー病院に行けない・給食を食べない
公立学校の授業料未納率ー7.4%(2007年度、日本高等学校教職員組合)
就学援助受給率ー全国平均12.8% 大阪27.9% 東京24.8%(2004年度、文部科学省)
大学生の奨学金受給者数ー約81万人、3人に1人(2007年度、日本学生支援機構)−−今は奨学金は3%の利子がつく。340万円(34年ローン)を背負って卒業
- 「よい子」の殺人--優秀な子が親を殺す
- 子ども虐待ーー虐待相談件数40618件(2007年度)--1101件(1990年度)
15−19歳の非正規労働者(中卒・高校中退)ー71.8%(2007年度、内閣府)−−若者の社会的排除と無差別殺人(家庭にもshく場にも居場所がない。自殺せずに他人を殺人)
2.日本の学校と教育の現状−−周回遅れの日本
- 学力におる「選別工場」としての学校の役割
- 競争原理主義ーー数値目標と成果主義(学力競争・学校の選択の自由?)
- 目的を忘れた認知主義的学力観とスキル至上主義の横行(脳トレ、百マス計算ブーム、○○力等の発想が蔓延)
教育は「未来への投資」(フィンランド、教育はすべて無料、100%が大学卒、学力トップ)、若者は「国家の財産」(オランダ、教科書はない、無料、経済効率は日本の1.5倍)。
日本では経済格差=教育格差は自己責任論になっている、これは間違っている。(小5国語は、0.887という関連が東京でみられた)
- 教師の悲惨な現状ーー心を病む教師、立ち去る教師(87万人。精神的病。自殺)
「教員を辞めたいと思うことがある」−−61.7%(2008年、10人委員会)
労働時間(11時間ー8分の休み)、それに土日は部活指導
研修が多い(15日。研修トータル=約500時間ー60日分)
書類の洪水・上意下達(挙手禁止通達)・教育員会の腐敗(大分県)
- 高い授業料・教育費の私費負担ーー教育の商品化
3.世界と日本の落差
- 子ども観における大人と子どもの二項対立の構図と、発達的視点の欠落
- 大人と子どもの関係性の確立の遅れ--パートナーシップの欠如
- 自己責任論の横行ーー共生(インクルージョン)視点の欠落
- 集団主義、一斉主義(日本)−−個の尊重
- 「公」における市民主義の欠如と、「公」=国家主義ー道徳教育、伝統文化の注入
- 子ども参加(シティズンシップ)の欠落。参加感、自己肯定感、大人(行政)への尊敬心の欠落
- 差異に対するリスペクト、人権感覚の欠落。ジェンダー教育のバッククラッシュ
- 学校の役割ーー規律習得道場化(日本)−−民主主義のトレーニング場(ヨーロッパ)
- 「教え」から「学び」への転換済み
4.日本の進路の今後
- 子ども参加こそ全面解決への基軸
- 視野を世界(ヨーロッパ。EU27カ国)に開く
- 教育の分権化・教育行政の民主的改革(教育委員会の改革)
- 「教え」から「学び」の授業観への転換と「学力とは何か」のとらえ直し。PISA型学力(洞察力)
- 「子どもの権利条約」(日本は1994年4月批准、5月発効)の実体化、日常化。−−「子どもの最善の利益」「意見表明権」
ー自己肯定感(セルフエスティーム)をどう高めるか
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