「市村清講演集」(三愛新書)--リコー三愛グループ創業者没後40周年

仙台で富田さんから「市村清講演集」という新書(三愛新書)をもらった。没後40年を記念して三愛会で出した本で、2008年の12月16日の刊行となっている。非売品。

市村清は、リコーの創業者で、松下幸之助本田宗一郎と同世代の伝説上の経営者である。三愛石油明治記念館、ハミルトンリコー時計なども経営したり、大河内正敏博士が率いる理化学研究所でも仕事をしたりしている。富田さんからは時々、「リコー時計」という会社の名前を聞いているが、その会社のことがよくわかった。富田さんは市村清に一度会ったことがあるそうだ。

この本の中に野田一夫先生の名前が二度でてくる。市村清は1900年生まれだから野田先生より27歳上だが、野田先生は市村学校の生徒だったとある。この講演をしていたころは、市村が60歳ころで、野田先生は30代半ばという計算になる。この学校には、五島昇、盛田昭夫ら若手経営者や大宅壮一邱永漢今東光升田幸三等が入っていた。

市村が理研コンツエルンの中でただ一社だけ譲り受けた理研光学という会社が発展して、リコーという名前になった。これで会社の名前の由来がわかった。ビジネスマンだったころ、リコーの営業マンに日参されて、いい営業マンだなあと感心したことを思い出した。あれは市村イズムだったのだ。宮城リコーの社長をながく務めた富田さんにも、そういう雰囲気は残っている。

本を読んだが、いかにも創業者らしい言葉が並んでいる。経営の基本は「人」であると強く意識しているとの印象を持った。


この講演集の中から言葉を拾う。

  • 欧米式の経営学などは習ってきて参考にはなるかもしれないが、もっと実際的に日本独特に研究していったらどうか、、。
  • いろいろ書きだしてみて、組み立てたり、バラしたりしえみるおです。そうしなすと、かくならなければならない、かくなるべきだという結論が生まれてくるわけです。
  • 私が一番苦心しているおは人事管理です、、、。
  • (商品の)欠点のあるところをわれわれの販売技術とか熱意とか努力で補い、そういった気迫なくして営業は成り立ちません。
  • 地位は適材適所
  • 「人」という問題が徹底的に中心となる
  • 食欲、性欲、自己拡張慾
  • 人を愛し、国を愛し、勤めを愛する
  • 経営学は外国の直輸入の経営学では駄目ではないかと思っております。やっぱり日本には日本の風土に合った経営学があるのではないでしょうか。私のこうしたいろいろなことを取り入れて、野田一夫君がそれを体系化しようとしてやってくれています。
  • 知っているということは存外、判断力とは別物ではないか、、、。
  • 人と同じでは人以上にはなれません。

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