偉人の残した珠玉の言葉と感想


研究室から見える風景。

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たとえ乞食になっても絵かきになろう   (熊谷守一

この画家がようやく売れ始めたのは、84歳の頃。思いがけずに世間からもてはやされて迷惑する。そして97歳まで、好きな小さな子供と鳥と虫を題材に絵を描いて楽しんだ。画壇の仙人の自然体の暮らし方に共感するファンは多い。

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こは長きも二十行を限りとし短きは十行五行あるは一行二行もあるべし  (正岡子規

「墨汁一滴」には、食べ物の薀蓄、歌に関する知識、人物胆、俳句、万葉集賛歌、闘病の苦しさ、少年時代の思い出、漱石のこと、試験の話など、優れた批評精神と好奇心のおもむくまま豊かな精神生活を感じさせる文章が並んでる。テーマ、スタイルなどが多彩にひろがっていて、子規の世界を堪能させてくれる。随筆に現われる子規は実に魅力的だ。現代のブロガーは子規に学びたい。

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信なくば立たず    (三木武夫

リーダーの心得は、この言葉に尽きる。

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今年こそえぞ人とも月見れば こさふきもせめ心ゆるして  (最上徳内

頑強な体力と際立った精神力で蝦夷地を踏破した優れた探検家が、蝦夷人に深い愛情と持ち、そして強い信頼を寄せられていることがわかる歌である
徳内の樺太、オホーツク探検がわが北方領土への道を開いた。
志を持った一人の人間のできる仕事は実に大きい。

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真実一路    (中川一郎

「北海のヒグマ」という愛称で親しまれたが、志半ばにして逝った異色の政治家の座右の銘である。
追悼記念集での親友の言葉が心を打つ。
「折にふれて思い起こす度心の中をさざ波をたててよぎっていく、という相手は滅多にあるものではない」
「あの巨きくもろく可愛かった、私の人生の中を通り過ぎていったひとりの懐かしい男」
石原慎太郎

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