「日記をつづるということ」(西川祐子)という労作

k-hisatune2009-07-26

ブログの連続記入の記録の目標が目前に迫ってきたので、「日記」に改めて関心がわく。始めた当初からの目標とは、ヤンキース松井秀喜選手の連続試合出場記録の1768である。

というわけで、西川祐子の労作「日記をつづるということ  国民教育装置とその逸脱」(吉川弘文館)を読んだ。和紙に墨と筆でつづる日記が主流の時代と、電子媒体の日記であるウェブ日記、ブログ、SNSが普及する時代の間に挟まれた日記帳の時代を対象とした研究書である。

「日記とは何か」、「近代移行期の日記」、「日記帳という商品」、「家計簿と主婦日記の創出」、「内面の日記の創出」、「戦争日記の世界」、「日記による戦後再編成」、「未知の編成を生きる--教育装置か、その逸脱か」と章が続くこの本は、日記の通読という「つづけ読み」と同時代のさまざまな日記の併読「ならべ読み」を用いて過去の膨大な生の日記を読むという作業から生まれた作品である。

樋口一葉の「一葉日記」、日記という商品を考案した博文館のマーケット開拓、羽仁もと子の発明した家計簿と主婦日記との関係、旧制高等学校教養主義精神主義から起こった内面を記す日記文化、戦争日記、戦後の廃墟の中で個人と集団を再編成するために日記帳が力を発揮したこと、そして日記をつづる習慣が個人の生活時間の管理意識を高め集団の規律を身につけることにつながったこと、などが長い年月を費やして収集した豊富な事例とともに紹介されている。

内容については後に記す予定だが、この本の中で紹介されている「「日本日記クラブ」のいう「日記人」に相当する現代のブロガーにも、参考になる一書である。

その延長線上に、「人間・野上弥生子野上弥生子日記」から」(中村智子思想の科学社)を読んでいる。実に面白い。
次は、「徳富蘇峰 終戦後日記」(講談社)に手をつけるつもり。


さて、野球の松井秀喜と同じくゴルフの分野でファンなのは宮里藍である。渡米後の活躍は今一つだったが、ずっと応援をしてきた。米女子ゴルフツアー「エビアン・マスターズ」でプレーオフのうえ、本日初優勝したというニュースが入った。コメントもなかなかいい。

「やりました!ホント、すごくうれしいです。乗り越えてきたものがたくさんあったけど、自分のプレーに集中できた。(最終日は)相手、スコアに惑わされず、1打1打に集中しようと自分に言い聞かせた。自分がコントロールできて、成長したと思う。(米ツアー参戦4年目の勝利は)決して遠回りではなかった。4年はあっという間だった。それが、私が初優勝するまでの(必要な)時間の進み方だったのかなと思う。家族やファン、みんなに恩返しができた」

今日の一枚は、散歩途中に見かけた美しい「桔梗」の花。