「九州の蘭学」(川嶌真人他編)にみる近代を用意した中津の人物10人

中津で川嶌真人先生(1944年生まれ)に会った。川嶌先生は医院を経営しながら、蘭学・医学を中心に研究活動を活発に行っている人物である。高校の先輩でもある。

診察中でもあり短い時間だったが、名刺を交換して、近著「九州の蘭学-越境と交流」という編著をいただいた。帰りの飛行機の中で読んでみた。

「九州の蘭学」は、九州出身あるいは九州で活躍した蘭学者と外国人の事績を記した評伝集で、59名の人物が紹介されている。この本は、2009年7月に出版されたのだが、この年はオランダと日本が平戸で貿易を開始してから400周年という年にあたっている。

九州の蘭学―越境と交流

九州の蘭学―越境と交流

この本で紹介されている「中津」出身の人物10人についてのみ取り上げ、紹介する。

江戸中期

  • 前野良沢−晩学の異才
  • 辛島正庵−種痘に生涯をかけた医師たち

江戸後期

  • 村上玄水−中津のレオナルド・ダビンチ
  • 奥平昌高−夢多き蘭学大名
  • 大江春とう−蘭和辞書を出版した藩医
  • 神谷源内−殿様の異文化間交流を支えた藩士

幕末

  • 大江雲澤−医のリスクマネジメントの提唱者
  • 田代基徳−明治初期の医学教育界・軍医界で活躍した外科医
  • 藤野玄洋−大分県医療史上の先覚者
  • 福沢諭吉蘭学を洋学に開花させた啓蒙思想

日本の科学と医学の近代を用意した郷土の人物たちの働きを知り、感銘を受ける。福沢諭吉は、こういった歴史の上に立って蘭学を洋学として開花させた大輪の花だったのだ。