「身辺的利害を超えて、国や社会の在り方のために立ち向かう気迫」

k-hisatune2010-06-09

GIN総研フォーラムは寺島実郎さんの「2010年上半期の体験と発見−頭の中でのつながり」というタイトルで、丸の内の日本興業倶楽部で行われた。1860年にアメリカにわたった咸臨丸の快挙から数えて、2010年の今年は150周年にあたる。50周年の1910年は日韓併合、100周年の1960年は日米安保改定、そして2010年は今である。日本の存在感の希薄化、冷戦後20年を経てもなお脱・冷戦に向かわぬ日本の呪縛、対米貿易比重13%時代。その中で「普天間問題の本質」を語った。

  • 鳩山政権の失敗の原因は普天間を沖縄の負担軽減問題にしてしまったことだ。
  • 長期的に「主権の回復」を目指すということを示すべである。
  • 独立国に外国軍隊が常駐するというは非常識であるという世界の常識に還れ
  • 第一段階は、アメリカが基地の占有権を持つという段階。これは占領の継続という特殊な方式。佐世保、横須賀基地などはこの形態。
  • 第二段階は、管理権はアメリカにあるが、日本は共用するという段階。
  • 第三段階は、管理権は日本にあるが、アメリカ軍は共用するという段階。

この第三段階を目指して、長い時間をかけても主権を回復してべきである。

以下は、配られた雑誌「世界」に連載中の「脳力のレッスン99  咸臨丸150年に想う−−日米関係の位相の変化」の最終部分。
「外交・安全保障に関係だけが、「過剰依存・過剰期待」の関係に埋没したまま、極端な固定観念に凍り付いている。五十年前、1960年代の世界認識を引きずったまま、日米安保既得権益とする人たちに押され、惰性の中で日米関係を「これまでどおりでいいのだ」という状況に自らを置く日本人に、未来はあるであろうか。
 歴史的な「政権交代」を経てもなお、「普天間問題」の経緯のごとく、基地と日米同盟の在り方について米国と正面から向き合うのではなく、21世紀のアジアの安全保障を配慮した「抑止力」の中身を真剣に吟味するすることなく、むしろ沖縄の期待を押さえ込むことで進路をとろうとする鳩山内閣と、そのシナリオを主導した外務相防衛省の責任は重い。深い歴史観の中で、今を生きる日本人が立ち向かうべき課題が理解できていないのであろう。
 咸臨丸の時代を生きた日本人は誰一人として、外国の軍隊を頼りに自国の安全を図るという事態を考えてもいなかった。いわんや敗戦後65年が経過し、周辺状況がまるで変わっても「自立自尊」を志向しない脳力の虚弱さは悲観的である。
 咸臨丸の時代、そしてそれから100年後の「60年安保」の時代と比べ、日本人が失っていることは自分の身辺的利害を超えて、国や社会の在り方のために立ち向かう気迫である。日本の存在感の低下の本質はここにあるといえる。」
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本日は、まず午前中に立川の多摩信用金庫事業創造センターの長島副部長を松本先生浜田先生と訪問。志企業研究会についての提案と相談。
大学に戻って健康診断を受診、その後少し仕事。樋口先生。
丸の内の交差点で中庭先生と遭遇。
セミナー終了後の懇親会。長田先生、菅野先生、金先生ら。田村常務に最近の状況を説明。千葉景子さんとも。