人物記念館を巡っていて不思議に思っていたことの一つは、小説家、画家、彫刻家などの記念館は多いが、実業人・経営者の記念館はあまりないということだった。書物、絵画、彫刻などは形があり、展示する方向が明確であるからだろうと考えていたが、起業家や企業家は「企業」という生き物を産み、その生き物が成長しているから、企業自体が人物記念館であるということなのだろう。
安定した大企業となった企業の中には、創業者の事績を示す記念館らしきものがあることもある。例えば、大阪のパナソニックの松下幸之助、京都の島津製作所の島津源蔵など。それぞれの企業は創業の精神を忘れないため、そして企業のDNAを確認するために立派な記念館を擁している。
さて、今日の企業を創った明治期を中心とするする創業者・経営者は、功なり名を成した後に、美術品の収集に走り、結果として美術館という形で残っているケースが多い。私達はそういう美術館で行われる展覧会を観ることができるという余慶に預かっている。
この夏は、美術館を訪ねてそれを創った創業者、経営者をしのんでみようか。
- 国立西洋美術館。川崎造船初代社長・松方幸次郎
- ブリジストン美術館。ブリジストン創業者・石橋正二郎
- 大倉集古館。大倉財閥設立者・大倉喜八郎
- 五島美術館。東急電鉄創業者・五島慶太
- 静嘉堂文庫美術館。三菱第二代社長・岩崎弥之助、第四代社長・岩崎小弥太
- 畠山記念館。葦原製作所創業者・畠山一清
- 出光美術館。出光興産創業者・出光佐三
- 太田記念美術館。東邦生命保険社長・太田清蔵
- 三井記念美術館。
- 松岡美術館。松岡地所創立者・松岡清次郎
- 泉屋博古館分館。住友家第十五代当主・住友吉左衛門
- 平木浮世絵美術館。リッカーミシン創業者・平木信二
- 根津美術館。東武鉄道社長・根津嘉一郎
- 山種美術館。山種証券創業者・山崎種二
- 安田講堂(東大)。安田財閥・安田善次郎
- 川村記念美術館。大日本インキ
- 三井物産創業者・益田孝
- 大原美術館。倉敷紡績
- 三渓園。原富太郎
- 三越の高橋与義雄
- 逸翁美術館。阪急創業者・小林一三
- 王子製紙再建者・藤原銀治郎
- 財界指導者・団琢磨
- 藤田美術館。藤田組の藤田伝三郎
- 野村美術館。野村財閥創始者・野村徳七
- 香雪美術館。朝日新聞創業者・村山龍平
- 滴翠美術館。山口財閥オーナー・山口吉郎兵衛
- 福岡市美術館。電力の鬼・松永安左衛門
- 白鶴美術館。銘酒白鶴7代目・嘉納治兵衛
- アサヒビール大山崎山荘美術館。朝日麦酒初代社長・山本為三郎
- 徳川美術館。
- 彦根城博物館。
- 林原美術館。林原一郎
- 田部美術館。松江藩第何七代藩主・松平出羽守治郷
- 細川コレクション永青文庫。
- パナソニック電工・汐留ミュージアム
- 森美術館
- サントリー美術館。サントリー社長・佐治敬三
- 原美術館。ハラミュージアム アーク。実業家・原六郎
- ワタリウム美術館。