劇団四季「サウンド・オブ・ミュージック」を家族四人で観る

東京・浜松町の劇団四季専用劇場「秋」で「サウンドオブ・ミュージク」を家族四人で観た。
日本演劇文化の一大拠点としての[春][秋]の2劇場があり、[春]は海外大型ミュージカルのロングランを、[秋]は四季オリジナルミュージカルからストレートプレイ、海外名作ミュージカルなど様々を上演。客席数は907席。
企画・制作・日本語演出はこの劇団のオーナーである浅利慶太で、一番有名な「ドレミの歌」の訳詞はペギー葉山
このミュージカルは誰がベストテンを選んでも必ず入るだろうという傑作であり、映画や海外でのミュージカルも観ているが、今回は日本語の舞台だったので、内容をより理解できた。演出も、音楽もいいし、感動的な場面がいくつもあった。

この物語は、第二次大戦直前のオーストリアのザルツブルグ郊外が舞台。オーストリアはチス・ドイツに併合され、第三帝国が成立する。愛する子供達とマリアの幸せのために、トラップ大佐はオーストリア脱出を決断する。これがこのミュージカルの背景である。
このミュージカルの原作は後にマリア自身が書いた「トラップ家族合唱団の話」である。実際にはトラップ大佐はオーストリア・ファシズムの体制の支持者であり、イタリアのムッソリーニとの同盟によってナチス・ドイツに対抗してオーストリアの自立をまもろうとしたが、ヒットラームッソリーニの接近で足場を失い、ドイツとの統合に追い詰められる。要するにファシズム勢力間の主導権争いだった。
熱狂的ヒットラー支持集会、国民投票でほぼ満票でのナチス・ドイツへの併合、ユダヤ人の抹殺への主体的関与など、オーストラリアはナチスの犠牲者ではないが、このミュージカルはそういった過去を葬るために利用されたという見方がある。

ともあれ、歌と踊りのミュージカルとしては、一級品であることは間違いがない。この日も堪能した。