人生鳥瞰図・神田古本まつり・原美術館・産業構造ビジョン

今日の授業は気分を変えて「人生鳥瞰図」に挑戦して貰った。自分を見つめる材料として提供し、自らの人生と将来の仕事を深く考える時間にした。私の考案した自分用のサインを公表したのだが、笑いにつつまれて好評だった。来週からは後半戦。

昼休みは、樋口先生、金先生、趙先生、諸橋先生らと歓談。

神保町へ向かう。第51回神田古本まつり。掘り出し物はないかと真剣に古本の棚に向かう人々の群れを見て本の時代はまだまだ続くと思った。年配者も多いが、若い人も結構多かった。私も数冊買い込んだ。

北品川の高級住宅地・御殿山にある「原美術館」を訪問する。原邦造という実業家の私邸を現代美術の美術館として使っている。東京ガス会長、日本航空会長、帝都高速度交通営団営団地下鉄)総裁などを歴任した実業家原邦造の邸宅だった。原邦造の養父の原六郎も実業家で、美術品収集家として知られている。1979年に開館した、素敵な美術館だ。ゆるい円を描い建物で広い中庭を持っており、喫茶店もある。

「崔在銀展−−アショカの森」という企画展を開催していた。崔在銀は1953年生まれの韓国人女性で、今回は「樹」をモチーフとした写真を展示していた。大地から水を吸い上げる微細な音が聞こえるという趣向もある。「アショカの森」は、インドのアショカ王が人々に薬効のある樹、果実のなる樹、燃料になる樹、家を建てる樹、花の咲く樹を植えさせたという話からとったものだ。失った樹と共鳴し合う能力を思い起こそうということらしい。
生命誌研究という新しい分野を拓きつつある中村桂子さんとの対談が入っている「ゲノムの見る夢」という対談本を買ってその部分を読んでみて、崔さんと中村さんの取り組もうとしている方向やそれを支える思想をよく理解できた。
中村桂子さんは、遺伝子を見て「今」をつかむ科学から時間の入った全体としてのゲノムとして生命を見ようという方向に舵を切った。研究対象が生命科学から生命誌バイオヒストリー)へ移行することにより、普遍と多様、部分と全体、還元と総合などの視点が手に入り、日常的に見る生命と科学で対象とする生命の間のギャップが解消したと言っている。この本の対談相手は、歴史家、哲学者、宗教学者、芸術家などであり、科学以外のところで生命誌と接点を持つ人々と会話をしており、この本も面白そうだ。二元論ではなく「つながり」が重要になってきている。

品川サテライトで、大学院の授業。経済産業省の「産業構造ビジョン2010」をテーマに議論。