ベートーベン、吉川英治、瀬戸内寂聴

最近読んだ本の刺激を受けた箇所。

「ベートーベンの生涯」(ロマン・ロラン著、片山敏彦訳)より。「ジャン=クリストフ」「魅せられたる魂」を書いた作家ロマン・ロラン(1866-1944)は、少年時代からベートーベン(1770年生れ)の音楽を生活の友とし、その生き方を自らの生の戦いの中で支えとしていた。そのロランのベートーベン讃歌。私自身は音楽には縁が薄いのだが、電車の中でつい聴いてしまうのは、ベートーベンの「第九」になる。これは素晴らしい。

ベートーヴェンの生涯 (岩波文庫)

ベートーヴェンの生涯 (岩波文庫)

  • 音楽は、一切の知恵・一切の哲学よりもさらに高い啓示である。、、、私の音楽の意味をつかみ得た人は、他の人々がひきずっているあらゆる悲惨から脱却するに相違ない。
  • 私のいつもの作曲の仕方によると、たとえ器楽のための作曲のときでも、常に全体を眼前に据えつけて作曲する。
  • 私は作曲が一度できあがると後からこれを修正するという習慣を持たない。私が決して修正しないのは。部分を変えると全体作品の性格が変わるということは真理だと悟ったためである。
  • ヘンデルとバッハとグルッグとモーツアルトハイドンの肖像を私は自分の部屋に置いている。それらは私の忍耐力を強めてくれる。
  • 勇気を出そう。肉体はどんなに弱くともこの精神で勝ってみせよう。いよいよ、25歳だ。一個の男の力の全部が示されるべき年齢に達したのだ。
  • 僕の最も大切な部分、僕の聴覚が著しくだめになって来たのだ。、、、僕の仕事では、これは恐ろしい状況だ。
  • おお、僕がこの病気(聾疾)から治ることさえできたら、僕は全世界を抱きしめるだろうに!、、、少しも仕事の手は休めない。眠る間の休息以外には休息というものを知らずに暮らしている。

彼は音楽家中の第一人者であるよりもさらにはるかに以上の者である。彼は近代芸術の中で最も雄々しい力である。彼は、悩み戦っている人々の最大最善の友である。(ロマン・ロラン

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吉川英治の世界」(吉川英明・編著)より。長男英明はNHK勤務。家族の証言は日常がわかるのでなるべく読むようにしている。
吉川英治の世界 (講談社文庫)

  • 父は親鸞という人に、よほど惹かれていたのか、
  • 父の全集が出ている。全53巻だが、、、、。、、33歳のときだから、死ぬまでの37年間、文字通り、机にしがみついているような毎日の連続だった。
  • 父の晩年の楽しみの一つにゴルフがあった。60歳を過ぎて始めたゴルフだから、勿論うまくはない。辞bぬんでも、「健康法の一つさ、、」などと言っていた、、。
  • 一日80本---父の喫煙量である。とに角、大変な煙草好き、いや、喫煙壁だった。
  • 鳴戸に父の碑がある。
  • 広島の音戸の瀬戸に、父の文学碑がある。

30歳、東京毎夕新聞営業局長に推され家庭部に勤務する。翌年処女作「親鸞」が単行本になる。その9月に関東大震災にて社屋焼失。社業再開の見込みがたたず、全社員解散。やはり関東大震災は、多くの人の人生に大きな影響を与えている。

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東日本大震災に関連して瀬戸内寂聴(89歳)のインタビューを聞いていたら、作品は、「300か、400近いわね」と言っていた。この人の仕事量も半端ではない。寂聴はこのたび世界文化遺産となった平泉の中尊寺で得度している。