橋下徹・堺屋太一「体制維新---大阪都」(文春新書)

橋下徹堺屋太一「体制維新---大阪都」(文春新書)。

大阪都構想を掲げる橋下大阪市長の考える大阪と日本の未来がよくわかる本だ。一点突破で現在の閉塞感を打ち破る可能性がある。4年間の大阪府知事時代の闘争に裏付けられた現場感覚とそこから生み出された明快な論理と方向性には説得力がある。

体制維新――大阪都 (文春新書)

体制維新――大阪都 (文春新書)

  • 大阪府庁と大阪市役所を解体し、新たな大阪都庁にする。現在の大阪市を8つの特別自治区に再編。都は大阪全体を対象にした広域行政を担い、特別自治区基礎自治体として住民サービスを受け持つ。
  • 景気対策や雇用対策、空港、港湾、高速道路、鉄道などのインフラ整備、自治体外交、国との権限折衝、地域全体を考えるのが広域行政。
  • 高速道路、幹線道路、地下河川などの広域インフラ。JR大阪駅北ヤード開発、大阪湾岸ベイエリア部振興、カジノ構想、
  • OSがウィンドウズ95(140年前にできた行政のしくみ)のままでは、WIN7用の最新ソフトは動かない。
  • ボロボロの車(大阪府大阪市)を電気自動車大阪都)に変える。良い運転手(公募制で選んだ首長)を選ぶ。民主党はいきなり運転席に座って(政権交代)事故を起こし、路線バス(官僚主導)になった。
  • 都市間競争の時代。個々の都市を成長させ、つなぐのが国の役割。
  • 大阪府の改革:1100億円の収支改善目標を達成。職員給与は最低水準。450億円かけて私立高校の授業料無償化。警察力の強化で街頭犯罪ワーストの汚名を返上。負債を5577億円返済。貯金は10億円から800億円になった。伊丹空港廃港問題、水道事業の統合、、、。
  • 首都圏・中京圏・近畿圏が日本全体のGDPの約7割。成長戦略の主体は都市であるべきだ。都市は国を引っ張るエンジン。大阪都は東京に次ぐ、二発目のエンジンに。
  • 今の政治家は組織マネジメントの経験がないから、行政組織を機能させられない。組織の仕事の割り振り、役割分担を決めるのがトップの仕事。組織マネジメントの根幹は意思決定システムだ。
  • 政治家はあるべき方向を示す。行政マンが選択肢を作り、中身をつめる。
  • 人口880万人の大阪府。人口260万人の大阪市大阪都庁は強い広域自治体、特別自治区はやさしい基礎自治体に。区長は公選。
  • 誰が決定権者か?
  • 府立大・市立大の統合後は公立大では日本ナンバーワン。現在は府・市合わせて200億円かけている。首都大学東京の二倍かかっている。大阪消防庁は1万人の部隊になる。
  • 中継都市、付加価値都市が大阪の成長戦略。
  • 税収増と行政改革で確保した財源を住民サーニスに還元する。これが大阪都構想の都市経営モデルだ。
  • 各地域が独立して州を運営していく道州制が最終ゴール。
  • 大阪で統治機構の変革の実例を見せたい。