湯川秀樹博士の「外的世界と内的世界」(岩波書店)に、創造性についてのエッセイがある。
- デジタル的傾向の人は細かい構造にひかける。アナログ的傾向の人は鋭くないように見えるが大づかみに何かつかむ。そういうほうに関心があるし、そういう能力が優れている。
- アナログ的な能力の相当にある人が一生懸命に努力してデジタルな能力を向上させたというケースが、高能力になる。
- そういう説があるが、全体をまとめるには分析的な能力が発達していることが重要だ。デジタル的にシャープになりすぎるとまずかったりする。クリエイティブであるためには自律性が必要である。
- 論理は独り歩きしてしまったらダメだ。コトバから数にいく。さらに記号になる。そして独り歩きしてしまう。抽象化、一般化が進んで、創造性の源泉が枯渇してしまう。
- ユークリッド幾何学の特徴は、片や論理でコトバの論理、片や図形。
- デカルトの「方法序説」「精神指導の法則」は創造の方法論だ。そこには直観と論理はどう結びつけるかということが書いてある。
- メモの習慣-始終自分の考え方をコントロールしている。構造づけをしたり、枠に入れたり、ということを盛んにやっている。
湯川先生には平明なわかりやすい歌が多い。
逝く水の流れの底の美しき小石に似たる思ひ出もあり
ボーボーと霧笛かなし灰色の有無と空とのただ中にして
弟がもしやいるかと復員の兵の隊伍に沿ひて歩みし
孫はその母と日ごとに菓子くずを庭にまきては鳥をまつなり
天地は逆旅なるかも鳥も人もいづこか来ていづこにか去る
若葉して見なれし庭の草も木も色とりどりに光輝く
荘子の徒でもある湯川秀樹の座右の銘「一日を生きることは、一歩進むことでありたい」だ。
李白の「天地は万物の逆旅にして、光陰は百代の過客なり」ということばが何度もでてくる。素粒子というのは逆旅(宿屋)に泊まっているお客さん。
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「蜩ノ記」(葉室麟)を読了。この人の小説をもっと読もうか。「乾山晩秋」「銀漢の賦」「いのちなりけり」「秋月記」「花や散るらん」「恋しぐれ」。
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5月に発行予定の本(事例の豊富な図解トレーニング本)のゲラが届いたので、チェックを始めた。
公園の水がキラキラ光っている。春が近い。