映画「マーガレット・サッチャー、アンアンレディ」を観る。
チャーチル、ロイド・ジョージと並ぶ英国首相サッチャーは、1979年に首相に就任し、その後10年という長期政権で英国を英国病から救う。
私は20代でJALの駐在員としてロンドンに1年2か月ほど滞在し青春を謳歌したが、この時の前半は労働党のキャラハン政権、そして後半はサッチャー首相の登場の時期だった。ストライキ全盛で英国の凋落が誰の目にも見えていて、「英国病」という言葉に世界中が納得感を持っていた時だったので、鮮明に覚えている。
当時からサッチャーには批判が多く、女であることからくる差別感もあり、とても首相をやり切れるという評価ではなかった。しかし、福祉を切り詰め、景気を刺激し、国有企業を売り払い、炭鉱を閉鎖し、労働組合を攻撃し、IRAのテロにも屈せず、フォークランド紛争にも勝利し、妥協をしないサッチャーは見事なリーダーとして英国を立て直した。
サッチャーは1925年生まれ。26歳で結婚。34歳で下院議員に当選。45歳、ヒース内閣で教育科学大臣、50歳、保守党党首、54歳、女性初の英国首相、65歳(1990年)、首相辞任。
この映画は娘が明らかにしたように、認知症の出ているサッチャーの現在と子供の頃から華麗な表舞台に立つ時代までを行きつ戻りつしながら進んで行く。両親、子ども、夫、そして仲間などサッチャーの人生における重要な人たちが登場して全貌を描いていく。主演、監督、脚本がすべて女性であるのも特徴だ。主役のメリル・ストリープの名演もあって、陰影の深い素晴らしい映画となった。
主演女優は、サッチャーの若い時代から、老年に到るまでを演じている。ハツラツとした下院議員時代、首相時代、そして晩年まで、メイキャップの凄さに驚いた。また老年の動きもさもありなんという自然な振る舞いだった。素晴らしい女優なのだろうと納得する。
そのメリル。ストリープは、「重要なのは、この日、この瞬間だと気付くんです。今ここにいることがね。」「つまり禅ですね。今この瞬間を生きる。感じて、ただそこに在れ。」ということをパンフで語っている。通常は頂点向かって盛り上げていくのが映画なのだが、この映画は終わりから始まって、夢と現を相互に行き来しながら、人生を問うという構造になっていて、奥が深い。
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朝、NHK杯で羽生二冠(王位・棋聖)と渡辺二冠(竜王・王座)の将棋を観た。紙一重の興亡。最後に渡辺が「これまで」と頭を下げたが、一瞬どっちが勝ったかよくわからなかった。集中し苦しみながら差し手を考える羽生を見ていると、神経をすり減らすゲームだと思った。羽生は、NHK杯を10回制し、初の「名誉NHK杯」となった。名人戦で、解説していた森内名人と羽生が戦う。好調な羽生の戦いが楽しみだ。
iphoneでラジオ放送の「オンザウェイジャーナル」の番組を片っ端から聞いてみた。福岡伸一さんの話が面白かったので、「動的平衡」の2冊の本を購入し、読み始めた。