「鉄川与助の教会建築」

銀座にあるLIXILギャラリーはイナックスの運営するギャラリーだ。面白い企画展をやっているのと、併設の書店の品ぞろえがいいので気になるギャラリーだ。今、「鉄川与助の教会建築」という企画展を開催中だ。

全国にキリスト教カトリック教会は1020棟ある。長崎県には130近くの教会がある。
五島に生まれた鉄川与助(1879年ー1976年)は、大工棟梁の家系に生まれ、生涯に100ほどの建築物を設計している。そのうち教会は30棟に及ぶ・
当時は分業化が進んでおらず、棟梁が設計や施行管理を担っていた。27歳で家業の鉄川組を継いだ与助は、32歳の時に71歳のフランス出身のド・ロ神父と出あう。ド・ロ神父は向学心に燃える与助に、建築に関する書籍や木工用旋盤、カンナなどを授けて指導した。与助の教会建築はこのことでさらに飛躍する。

ド・ロ神父は長崎の外海(そとめ)の主任司祭として私財を投じて教会や授産施設を建設。教育、医療、農業指導、そしてパンやマカロニを製造して産業を興すなどの業績がある。外海に遠藤周作文学館を訪ねた折に、ド・ロ神父の建てた教会を訪ねたことがある。記念館では名物のド・ロそうめんを食した。

1923年の関東大震災で以後、鉄筋コンクリートの普及が行われたのだが、与助はその前年に日本最初の鉄筋コンクリート造りの長崎神学校を建設している。与助は独学で勉強していた。

宣教師という人たちはどうしてこのような科学技術を身に付けていたのだろうかと不思議に思って、「宣教師東漸」という小説を最近脱稿した八木哲郎さんに聞いてみた。宣教師は僧侶ではなく、職業を持っていた身分の低い熱心な信者であったとのことだった。宣教師の学校で学んだのではなく、もともと知識や技術を身につけていた人が宣教師になって海外に出たということらしい。

年譜をみると、九州を中心に実に多い。79歳、長崎県知事から建設功労者表彰。80歳、黄綬褒章。88歳、勲五等瑞宝章。97歳、死去。

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学内日誌。

  • 永山と大学を徒歩で往復。
  • 15時から品川サテライトで研究開発機構評議委員会。多摩大の研究所の会議。多摩大総研からは2011年度の総括と2012年度の事業計画の審議。また人事では3月末で総研所長を私が退任し、望月照彦先生が所長に就任することが決まった。
  • 情報社会研究所の公文俊平所長と雑談。田村常務に復興構想コンテストの優秀賞受賞の報告。諸橋学部長と打ち合わせ。山田参与と来年度のインターシップの相談。
  • 前任の北矢行夫先生に電話で総研所長の交代を報告。