120718


今期最後の「問題解決学総論」は、野田一夫名誉学長の「問題解決と事業構想」。9時から10時半。
問題解決と事業構想の二つの概念を比較し、事業構想に軍配をあげるという内容だった。事業構想は、ある目的に向かって問題に優劣をつけて解決していくプロジェクトであるという考え方。
話を聞きながら、二つを対立させないで包含できないかと考えてみた。

  • 多摩大でここ数年続けている再建プロジェクトは、建学の精神(国際性・学際性・実際性)を踏まえた上で、まずあいまいになっていた、そしてもっとも優先順位の高い教育理念を「現代の志塾」と定めた。

そこから「実学」を目指す経営情報学部の輩出人材像の設定(産業社会の問題解決の最前線に立つ人材の育成)、カリキュラムを人材像に沿って再編し、その中核に「問題解決学」を据え、多摩大型問題解決学の構築を目指すこととした。
そして3つの履修モデルを設定(グローバルビジネス・地域ビジネス・ビジネスICT)し、それぞれの輩出人材像を明確にした。
そういった流れの中で、「多摩学」の構築という研究目標も浮上したし、また志入試、志教育、志企業などの指針も定めてきた。最近文科省に申請したグローバル人材育成事業では、「多摩グローカル人材」という人材像が全学が追求すべき人材像として明確になった。
こういう流れはは明らかに野田先生のいう事業構想である。多摩大の再建という事業構想を推し進めているということになる。

  • 問題解決には3つのレベルがあると考えたい。
    • 最初は、眼前の具体的で既に発生済みの問題である。この段階の問題は、レベルが低く、そして問題は小さい。このレベルの問題解決は「改善」と呼びたい。
    • 次は、まだ未発生だがいずれ問題となって発生することが予見できるという課題解決とも呼ぶべき段階だ。ここでは対症療法よるいも根本原因の除去がテーマとなる。この段階を、「改革」を呼びたい。
    • 最後は、遠大な理想に向けて大きなプロジェクトをつくりあげ、極めて高いレベルで課題を解決していくという段階だ。この「創造」のステージでは、企画力・創造力・構想力が必要になる・野田先生のいう事業構想とは、こういった高度な段階を指している。