「天地明察」---授時暦を斬れ!

沖方丁のセストセラー「天地明察」(2010年本屋大賞)を原作とした映画を観る。
この原作は、吉川英治文学新人賞、北東文芸賞、舟橋聖一文学賞大学読書人大賞なども受賞している。

天地明察(上) (角川文庫)

天地明察(上) (角川文庫)

最近見た映画の中では一番楽しめた作品となった。大きな志を持ち、多くの人々の支援を得て、幾多の困難を乗り越えて、実現していく過程を描いた映画だが、滝田洋二郎監督(「おくりびと」の監督)は、「青春映画」を創ろうとした。このことが感銘を受けた理由だった。
江戸初期の碁打・安井戸算哲(渋川春海)は、暦の改変に取り組む。暦とは季節とともに暮らす日本人の生活の基盤であった。個人の吉凶にとどまらず、宗教、政治、経済にまで影響を及ぼすインフラであった。そのインフラにずれが生じていた。それを正すという大事業を任されたのだ。

保科正之水戸光圀山崎闇斎関孝和本因坊道策らの登場人物にも興味をそそられる。

市川猿之助が演じた関孝和が安井算哲に言った「授時暦を斬れ!」という言葉と表情が印象に残った。仕事はこうありたいものだ。

冲方丁

  • 天文学とは「社会を動かす学問である」
  • 天皇陛下にはもともと「北斗七星にもっとも近い人」という意味があり、
  • 歴史の「史」という字は、もとは、「星を見る人」を意味していました。

この作家の「天地明察」と「光圀」を買った。

                                    • -

今日の収穫

  • 用を雑にした時に、雑用が生まれる(渡辺和子)
  • よき細工は、少し鈍いき刀を使ふといふ(吉田兼好
  • 身死して財(たから)残ることは、智者のせざるところなり(吉田兼好
                                                                                    • -