- 作者: 寺島実郎
- 出版社/メーカー: 潮出版社
- 発売日: 2013/10/05
- メディア: 単行本
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第一部「9・11以後のアメリカと日本」。対談:山内昌之。舟橋洋一。中西寛。
第二部「中国の台頭と日本の現実」。対談:山崎正和。
第三部「問われる日本の経済政策」。対談:水野和夫。
第四部「日本外交の進むべき道」。対談:野村彰男。藤原帰一。
第五部「3・11と日本のエネルギー戦略」
エプローグ:「岐路に立つ日本の民主主義」。対談:姜尚中。
この書の内容はもう一昔前の内容も多いのだが、後追い敵に加筆・改稿はしていない。
- 「発言の本質は、現在と何も変わってはいないからだ。むしろ、今起きている情勢を先んじて論じていたともいえ、、」。
- 「発言者というのは、無責任であってはならない。いま目の前で起きている事象を、その時代性や歴史性を検証しながら、本質を射抜いて発信する責任がある。」
- 「私の発言が、情勢の変化に応じて推移してきたのか、それとも首尾一貫して変わらなかったのかを、本書を通じて感じていただけるだろう。そこから、責任ある発言とはどんなものなのか、一つの座標軸を持っていただけるのではないかと期待している」
「はじめに」の中で以上のように述べているが、ここには変わることにない問題意識と一貫した主張を行ってきた寺島の矜持と自負がみえる。イラク戦争の時に、大義なき戦争だと反対した寺島に対して、アメリカにはついていくしかないとして賛成した論客がいかに多かったか、を思いだす。
「歴史と地理」を踏まえて事象の本質を見抜き、解決策を模索し、提言する。その主張が時間がたつにつれて、証明される。こういう世界認識と時代を見通す目を持った論客は稀有である。
「政治改革「マネーゲーム批判」「日米関係の再構築」「日米関係は米中関係である」「日米中トライアングル時代」「世界有数の技術を持った産業国家」「エネルギーのベストミックス論」「孤立する日本」が寺島の変わらぬ主張のキーワードだ。
「あとがき」では、「寺島文庫」という実験を書いている。
高齢者の社会参画のためのベースキャンプにしたいとのことである。私生活主義と拝金主義に染まった団塊世代のミーイズムから、社会や時代に対する責任をもって「参画」する意識改革を行おうとしている。「この世代は、結束もせず、連帯もせず、ただ茫漠とさまよっているだけだ」という説に納得する。
「私は「あるべき時代」をつくるために、参画することをもって「是」としてきた。そして自分だけでなく、私の周りにいる仲間や友人たちが、その問題意識を共有しながら、時代を変えていく力になることを夢想しているのだ。」
私もこの流れに参画をしていくつもりだ。