「歴史とは人間の生き方、死に方の集積」(童門冬二)

童門冬二「50歳からの勉強法」(サンマーク出版)を読了。

50歳からの勉強法

50歳からの勉強法

著者は海軍航空隊から特攻隊に志願するが翌年に終戦。51歳まで都庁勤めで激務をこなす。芥川賞候補。美濃部知事のスピーチライターを12年間。退職後の56歳でベストセラー「小説 上杉鷹山」を上梓、86歳を超えた今でも最前線で活躍を続ける人だ。

この人の著作を読んでいるし、勤め人を終えたのちに、「組織と人間」というテーマで歴史小説に挑みベストセラーを書くという姿勢に共感を覚えていたので、この本を手にした。童門はデーモン(悪魔)からとった名前である。

どういう人生観と工夫を行っていたのだろうか。

  • 在職中から歴史雑誌(同人誌)を舞台に休日を使って習作活動。
  • 楕円思考、理論と実践、知識と行動、不易と流行、ゼネラリストとスペシャリスト、、。どちらかに偏らずに、どちらの視点や思考法も併せもつ。二者択二。
  • 同時進行。
  • 人生で大切なことはすべて映画から学んだ。小説を書く際の肥沃な肥料。
  • 「なら人間」を目指せ
  • 「自分を高く評価して、謙虚に生きたまえ」。主体性と協調性。
  • 仕事場は自分を磨く神聖な場所だ。
  • 平凡を重ねてついに非凡にいたる。
  • 歴史とは人間の生き方、死に方の集積。50代からは歴史を学ぶのに向いている。
  • 山本周五郎の作品を読んで人間研鑽や人格修行に励む。情を学ぶ心の師匠。
  • 太宰治。人の喜びや感動に奉仕する精神。文学の師匠。
  • 一文のセンテンスは最長でも40字までを限度とせよ。(丹羽文雄
  • 自分の手足を使って得た「なま情報」に勝るものはない。活字情報は「干物」。
  • 話法は落語から学んだ。6代目三遊亭円生。3分に一回は笑いをとる。
  • 「お前の敵はお前だ」(石川淳
  • 「人の多くは死ぬべきときに死んでいく」
  • 「たとえ世界の終末が明日であろうとも、私は今日、リンゴの木を植える」(コンスタンチン・ゲオルギュ)

野田先生や私の母と同じ1927年生まれの86歳という高齢を迎えても、なお執筆と講演に命を燃焼している「起承転転」の人生観には大いに共感を覚える。

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大岡越前守。1752年(宝暦2年)の12月19日、卒す。齢75。
吉宗が町奉行に抜擢。20年、その職を全う。名奉行。