リレー講座:中島隆弘「グローバル・ヒストリーへの視界」

中島隆弘先生「グローバル・ヒストリーへの視界」。

  • グローバル・ヒストリー
    • 数世紀に亘る長期的な歴史変動(有史以前から近現代まで)
    • 対象となるテーマの幅の広さ(食・移民・パンンデミック・環境、、)
    • 広大な地域、地域間の相互影響関係(ユーラシア大陸、、)
    • ヨーロッパ中心史観の相対化(近代以降の歴史の相対化・アジアへの注目)
  • 世界史は、近代の国民国家国史中心の歴史学だった。
  • 領域性ではなく、関係性に基盤を置く。
  • 二つの問い。
    • 大きな物語は終焉したのか?人権・国民国家などの普遍主義という物語の限界。ポスト・モダンは極端な相対主義に陥ってしまうから規範性を失う危険。大きな物語をどう語り直すのか。中心を持たずに歴史を語ることは可能なのか。
    • 20世紀前半の「世界史」論と「帝国論」とどう違うのか?
  • グローバルヒストリーは新しい価値観を提供できるか。地球市民的意識を持ちうる歴史叙述。近代の再興・再考に通じるのではないか。近代の意味を深堀りすることになる。
  • 複数を同時に、そして関係づけて語れるか?(羽田「世界の見取り図を描く」)
  • カント「世界市民的見地における普遍史の理念。挿話的に付加」キケロ「歴史は人生」。コレゼック「集合的単数形の歴史」。武田泰淳史記は世界的並列現象の物凄さ。並列状態。」。竹内好「新しい普遍をつくりなおす。西洋をもう一度東洋によって包み直す」。高山岩男「多元性からの出発。現代世界史は日本の国史を離れては存在しない。絶対無」。
  • 現代中国の天下主義は新しい普遍性か。アリギ「貢献か震央か。寺島「大中華圏」。許「新天下主義。普遍と特殊の融合。われわれの文化を良い普遍的な文明昇格」。趙「和諧(ハーモニー)」。白。「帝国中国への回帰か、普遍性への寄与か。ロバート・ベラー「儒学には普遍性がある。人権の基礎を提供」。普遍性をあきらめない。
  • 「普遍的な人間的価値」を再考する必要がある。精神的バックボーン。儒教。無条件な普遍性。

(水島司「グローバル・ヒストリー入門」。クロスリー「グローバルヒストリーとは何か」。ブローデル「地中海」。羽田正「新しい世界史へ」。武田泰淳司馬遷--史記の世界」。竹内好「方法としてのアジア」。高山岩男「世界史の哲学」。アリギ「北京のアダム・スミス」。ベラー「丸山真男の比較ファシズム論」)