「移動と交流」「コンパクト&ネットワーク」

本日のリレー講座最終回の講師は寺島学長。

  • 自分のノートをつくる。毒食わば皿まで。薄皮をはぐように。
  • 大事なのは歴史観生命誌・人類史。17世紀オランダ論。「1900年への旅」が「若き日本の肖像」(新潮文庫)と改題して文庫本になる。20世紀について本の内容に自分の体験を加えてノートにしていく。戦後日本とは何か。20世紀の日本とは何か。近代の中の日本とは何か。自分の頭で考えるには歴史観という軸が必要。日本の学生は近代史はブラックアウト。それは60歳以上も同じ。近代史は分かっていない。断片しか知らないから意見になっていない。薄っぺらな歴史観からは薄っぺらな考えしか出てこない。
  • アメリカのパフォーマンスは低下(ウクライナ問題、イラクの混乱、、)。一方で実体経済は好調。日本との貿易量は14.4%と盛り返している。成長率予測は2014年は2.8%、2015年は3.0%。要因の一つは「シェールガス・オイル革命」によるコスト削減。他の一つは次世代ICT革命。失業率は6.3%まで下がった。よみがえるアメリカ。
  • アベノミクス。年金資金(GPIF)の株式投入で外資は再び買い込んできた。日本人は15兆円を売り、外人は16兆円の買い越し。日本人が売らなかったら2万5千円。アメリカ経済が好調になり引き締めに入り金利が高くなる。欧州はマイナス金利で市中に資金がじゃぶじゃぶ。ブラジル・中国・ロシアなど新興国は悪い。したがって資金はアメリカに流れる。安倍政権の関心は株高維持。そのため298兆円の年金資金(GPIF)に手をつける誘惑に負けた。年金減少のリスク・長期金利の上昇というリスクあり。日本の信託銀行が買っている。外人主導の株高幻想。NISA(少額株投資)は1兆円超。日経新聞アベノミクスの宣伝媒体化。収益の源泉は海外にあり、労働組織率17.9%、連合は官公労と大企業労働者。だから労働分配率は上昇しない。多くの労働者が建設・製造からサービス産業に移行した。年収は120万下がっている。サービス産業をより高いレベルの産業にしなければならない。
  • 観光立国。日本の一人当たりGDP3.9万ドルはアジア3位、世界28位に転落。香港は3.8万ドルになって迫っている。中国からは1億人の海外旅行者のうち4074万人が香港に。彼らの購買力で潤っている。「移動と交流」がテーマになる。
  • 日本はホスピタリティ産業を育てる必要がある。製造業は大事だが、ハイエンドリピーターを引き付けて観光立国の実体化を。6月28日の圏央道の開通、2年以内に外環3道がつながる。リニアが13年後。域内の交通体系はどうするのか。国土のグランドデザインでは2050年に19%が無居住地域に、44%が人口半減。衰亡にしないキーワードは「コンパクト&ネットワーク」。道路、IT、、。地域ごとにどう解いていくか。脱工業化の新しい産業モデルをどうつくるか。